商業販売統計に見る消費は底堅いものの本格回復には至らず!
本日、経済産業省から商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる季節調整していない原系列の小売販売額は前年同月比+0.9%増の11兆4570億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
6月の小売販売額0.9%増 3カ月連続プラス 判断据え置き
経済産業省が29日に発表した6月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.9%増の11兆4570億円だった。プラスは3カ月連続。野菜の相場高などで飲食料品が3.1%増となったほか、自動車も新型車の投入効果等により8.0%増加した。
もっとも気温が昨年より低かったことによりエアコンや夏物衣料品が不調で、季節調整済みの指数は前月比で0.8%低下した。経産省は小売業の基調判断を「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」に据え置いた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.6%増の1兆6412億円だった。既存店ベースの販売額は0.3%減だった。既存店のうち百貨店は0.4%増、スーパーは0.6%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は4.6%増の9083億円。既存店ベースは0.6%増だった。
いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。

昨年2014年4月の消費増税に伴う駆込み需要とその反動の影響がまだ残り、ヘッドラインとなる小売業販売の季節調整していない前年同月比で見て、今年2015年の3月が駆込み需要の反動で▲9.7%減の後、4月は+4.9%増、5月も+3.0%増とやや盛り返したものの、6月は+0.9%増にとどまりました。6月は本来でしたらボーナス月なんですが、まだ毎月勤労統計の結果は出ていないものの、日経新聞のサイトの記事に従えば、今年の夏季ボーナスは伸び率で見ると昨年をやや下回るといった報道もあり、前年同期比では伸び率が縮小した結果となりました。また、引用した記事にもある通り、天候要因でエアコンなどの売上げが伸びなかった一方で、自動車税の増税に伴う自動車の販売不振はそろそろ底を打ちそうな印象もあります。ただ、所得、というか、賃上げに裏付けられた消費者マインドは景気ウォッチャーを見ても、消費者態度指数を見ても、いまだに回復途上にあると考えるべきであり、そのため、消費はいまだに本格回復には至っていない、と私は受け止めています。
先週7月22日付けのこのブログで取り上げたところですが、CCCによる今夏のボーナスの使い道でも預貯金がトップだったのは、明らかに予備的動機の貯蓄であって、先行きの所得上昇にまだ十分な自信が持てないでいる消費者の姿を浮き彫りにしています。従って、この先、さらなる賃上げにより、どこまで所得増加が実感できるか、あるいは、非正規職員から正規職員への転換などの雇用の質の改善が進むかどうか、といった先行きの所得への影響を及ぼす雇用や労働市場の動向に消費動向が依存する部分も小さくないと考えています。
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