週末ジャズはカーティス・フラーの「ブルースエット」!
モダン・ジャズの古典的な名演のひとつであるカーティス・フラーの「ブルースエット」です。実質的にはベニー・ゴルソンとの双頭になるツーホーンのクインテットと解釈するジャズ・ファンもいたりします。まず、収録曲は以下の6曲です。
- Five Spot after Dark
- Undecided
- Blues-ette
- Minor Vamp
- Love, Your Spell Is Everywhere
- Twelve-Inch
どれも有名な局ばかりですが、特に最初の局はジャズ・クラブをタイトルにした曲としては、「バードランドの子守唄」と同じくらいに人口に膾炙しているような気がします。1959年5月の録音ですから、ギリギリでステレオの時代になっています。ステレオでなくてモノラルのままでも「サキソフォン・コロッサス」のように名演は名演なんですが、それにしてもこのアルバムも50年以上も昔の録音ということになります。ハードバップの黄金期を経て、いかにもハスキーな音と日の出るようなアドリブで魅了されます。私は、「サキソフォン・コロッサス」に次いで、モダン・ジャズのナンバー2だと考えています。
いささか薀蓄を披露すると、タイトルと3曲めの -ette はいわゆる縮小辞です。ですから、「小さなブルース」という意味です。日本語では縮小辞のような表現はなさそうに思いますが、外来語そのままでよければ、case ケースに対する casette カセットがそうです。また、最後のナンバーは「12」という数字が入っていますが、ジャズの場合に限り、ほとんどブルースです。ブルースは12小節から成って3度5度7度の音を半音落とす、すなわち、フラット記号をつける曲です。12小節を強調したもっとダイレクトな曲名としては、ウェイン・ショーターの作曲で Twelve More Bars to Go というのがあります。アルバム JuJu に収録されていますが、もちろん、"Bar" はお酒を飲ませるバーと楽譜の小節の両方の意味があるのでかけているわけです。
最後に、モダン・ジャズの名演アルバムはジャケットが素晴らしい、という言伝えがあります。特に、モノトーンの写真を使ったり、わざと色使いを少ない色で表現したりと工夫されています。これまた、典型が「サキソフォン・コロッサス」なんですが、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」とか、キャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」とかがあり、あるいは、単なる顔のアップで、コルトレーンの「至上の愛」とか、ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」とか、いろいろと上げられるんですが、この「ブルースエット」だけは、名演だがジャケットのデザインがイマイチ、と私は受け止めています。
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