帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」やいかに?
やや旧聞に属する話題ですが、ちょうど1週間前の8月20日に帝国データバンクから「人手不足に対する企業の動向調査」の結果が公表されています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を2点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 企業の36.2%で正社員が不足していると回答。「放送」が7割を超えたほか、「情報サービス」など専門知識・スキルを必要とする業種や、小売業で人手不足が深刻となっている。とりわけ、「医薬品・日用雑貨品小売」「飲食料品小売」などの小売業で人手不足感が拡大しており、マイナンバー導入によるIT需要や、円安によるインバウンド消費の好影響が大きい業種で不足感が広がっている
- 非正社員では企業の24.5%が不足していると感じており、特に「飲食店」「飲食料品小売」などで高い。訪日外国人の増加にともなう、インバウンド消費額の拡大により、特に消費者と接する機会の多い業種で不足感が高まっている
明日は総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表される予定ですが、これに先立って、pdfの全文リポートから図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、従業員の過不足感について、調査のインターバルは不規則ながら、正社員・非正社員別に最近3時点を並べたのが上のグラフです。全体として不足感が過剰感を上回っているんですが、2015年に入ってからの1月から7月にかけての変化だけを取り出して見ると、正社員では不足感が減少して過剰感が増加し、逆に、非正社員では不足感が増して過剰感が減じています。ただ、繰返しになりますが、全体として過剰感よりも不足感の方が強いことは事実です。
業種別に見て、従業員が不足している上位10業種のテーブルは上の通りです。放送業の正社員不足の要因は私には不明なんですが、リポートの分析に従えば、前回調査と比べて非正社員の人手不足感が急拡大している業種は、景気回復による賃金の上昇を受け、国内旅行需要が増加しているほか、円安の好影響によりインバウドによる消費の増加が影響したこともあり、「飲食料品小売」と「飲食店」が上げられています。逆に、人手不足感の減少として上げられる業種は「建設」です。すなわち、前々回調査で人手不足の割合がもっとも高く、前回でも2番目に高かったが、今回の調査では7番目と順位を大きく下げています。東北の堅調な復興需要をはじめ、新幹線などの交通インフラ整備による建設需要があった前回調査までに比べて、特に、土木工事の公共工事需要が落ち着いたことが人手不足感を緩和した、とリポートでは分析しています。
さて、気になる明日の雇用統計と来週の毎月勤労統計やいかに?
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