企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率は特殊要因が剥落してプラスを維持!
本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数(SPPI)が公表されています。ヘッドライン指数の前年同月比上昇率は+0.6%と、前月の+0.4%からやや加速するとともに、昨年4月の消費増税の影響が一巡してもプラスを維持しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
7月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 広告や運輸が上昇
日銀が26日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.1で、前年同月比0.6%上昇した。前年比でプラスになるのは25カ月連続。テレビ広告や運輸関係の上昇が寄与し、前年比の伸び率は6月から0.2ポイント拡大した。前月比では0.2%上昇だった。
上昇品目は62、下落品目は45だった。上昇品目と下落品目の差は17で6月の21からやや縮小した。品目数で上昇が下落を上回るのは22カ月連続だった。
品目別では6月に比べてテレビや新聞の広告が大きく伸びた。旅行広告の出稿などが増えた。日銀は「企業の広告需要は引き続きしっかりしている」(調査統計局)と指摘。運輸関係では人手不足を背景にトラック輸送や貸し切りバスの伸び率が拡大した。昨年7月の企業向け割引の影響が一巡し、高速道路などの上げ幅も目立った。
日銀は「円高が進むと国際貨物などの品目でマイナスの影響が出やすいため、今後の為替や海外経済動向を注視していきたい」としている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
今月12日に同じ日銀から発表された企業物価(PPI)ではヘッドラインの国内物価上昇率は6月の前年同月比▲2.4%から7月は▲3.0%と下落幅を大きくしていますし、さらに、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、明後日に公表予定の消費者物価(CPI)のコアCPIの前年同月比上昇率がいよいよマイナスに突っ込んで▲0.1%になるんではないかと予想されていますが、企業向けサービス物価上昇率は前月の+0.4%から加速して+0.6%を記録しました。この違いの要因としては、7月の企業向けサービス物価が上昇率を拡大したというよりは、4月の+0.7%や5月の+0.6%の上昇率水準に戻っただけで、むしろ、6月の+0.4%の上昇率が特殊要因によるものではないかと私は受け止めています。すなわち、先月6月の企業向けサービス物価のうちの広告が昨年のサッカーのワールドカップ開催時からの反動で下落した旨を先月7月27日のブログに書いた通りで、その特殊要因が剥落した、ということなんではないかと考えています。ですから、基本ラインは従来と同じ見方をしており、今週に入ってからの株価の変動をもたらしている中国経済の減速に伴って、国際商品市況の下落から石油や非鉄金属価格に落ち込みのため、モノの価格であるPPI上昇率は下落を続け、逆に、国内の人手不足から労働コストの上昇の影響が大きいSPPI上昇率はプラスを続けている、という構図であると考えるべきです。その意味では、中国経済の低迷は世界的な株価の低迷をもたらすとともに、我が国のデフレ脱却についてもさらに難しくしている面があるともいえます。
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