来週9月8日公表予定の4-6月期2次QE予想やいかに?
来週火曜日の9月8日に今年2015年4-6月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。今週月曜日の法人企業統計の公表をはじめとして、必要な経済指標がほぼ明らかにされ、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、先行きの今年7-9月期以降を重視して拾おうとしたんですが、明示的に取り上げているシンクタンクはみずほ総研だけでした。超長めに引用してあります。ほかはアッサリした発表のリポートが多かった印象です。何分、2次QEですから仕方ありません。いくつかの機関のリポートでは法人企業統計のついでになっていたりします。ただ、伊藤忠経済研の設備投資と企業の所得分配機能に関する見方だけは私も注目しました。これも長めに引用してあります。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | ▲0.4% (▲1.6%) | n.a. |
日本総研 | ▲0.3% (▲1.1%) | 設備投資、在庫投資、公共投資がそれぞれ小幅上方修正される結果、成長率は前期比年率▲1.1%(前期比▲0.3%)と1次QE(前期比年率▲1.6%、前期比▲0.4%)から上方修正される見込み。 |
大和総研 | ▲0.4% (▲1.6%) | 一次速報から大きな変化はないとみている。設備投資、公共投資については下方修正される見込みだが、民間在庫が上方修正される公算だ。 |
みずほ総研 | ▲0.4% (▲1.5%) | 2015年7-9月期は回復軌道に復するものの、そのペースは緩やかなものになると見込んでいる。天候不順などの一時的な下押し要因がはく落する中、賃上げや夏季ボーナスの増加による所得改善もあって、個人消費は持ち直すと予想される。設備投資も、製造業を中心に積極的な投資が計画されており、増加に転じるだろう。一方、輸出については、4-6月期までの減少には歯止めがかかるものの、新興国経済の減速の影響などからアジア向けが伸び悩んでいるほか、米国向けの回復も力強さに欠けているため、緩慢な伸びにとどまるとみられる。生産計画の回復の鈍さを踏まえると、民間在庫投資の成長率への寄与もマイナスに転じる可能性が強い。これらから、7-9月期の成長率は前期比年率+1%程度にとどまると見込んでいる。 |
ニッセイ基礎研 | ▲0.5% (▲2.0%) | 下方修正されると予測する。 設備投資は前期比▲0.1%から同▲1.6%へと下方修正されるだろう。 |
第一生命経済研 | ▲0.4% (▲1.6%) | ヘッドラインの数字に変化はないとみられるが、「設備投資の下方修正+在庫投資の上方修正」という組み合わせはネガティブで、内容は1次速報から悪化するだろう。 |
伊藤忠経済研 | ▲0.6% (▲2.2%) | 設備投資の下方修正は、先行指標である機械受注や、日銀短観の設備投資計画などで比較的堅調な拡大傾向が示唆されていたことから判断して予想外である。ただ、仮に下方修正されたとしても、設備投資は拡大基調を維持しており、頭打ちしたと判断するには至らない。 (中略) 企業が潤沢なキャッシュフローを内部に留め置いている状況も明らかとなった。停滞気味の景気が再び回復に向かうためには、企業が従業員への還元や投資拡大の動きを強めるかどうか一つの大きなカギを握っていると言えよう。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | ▲0.3% (▲1.1%) | 1次速報の前期比年率マイナス1.6%から同マイナス1.1%に上方修正されると予想している。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲0.4% (▲1.5%) | 全体の修正幅は小さいが、設備投資の落ち込み幅が拡大し、公共投資の増加幅が縮小する一方で、在庫投資の寄与度が上方修正されると見込まれることから、景気の見方がやや厳しさを増す可能性がある。 |
三菱総研 | ▲0.3% (▲1.3%) | 小幅上方修正と予測する。 |
上のテーブルを見れば明らかな通り、2次QEは1次QEから小幅な改定にとどまると見込まれています。私はどちらかと言えば、上方改定よりは下方改定の可能性が大きいと考えているんですが、ニッセイ基礎研や伊藤忠経済研ほど、すなわち、年率で▲2%に達するほどではないような気がしています。ただ、大和総研、第一生命経済研、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどのヘッドラインに引用している通り、設備投資が下方改定される一方で、在庫投資が上方改定される可能性が高く、景気の現状に対する見方がややネガティブに傾くんではないかという気はします。もっとも、みずほ総研や伊藤忠経済研のリポートにあるように、4-6月期はマイナス成長ながら先行きは緩やかな回復が見込まれており、特に、4-6月期にマイナスが予想されている設備投資も先行きは拡大基調を維持する可能性が高いと私も考えています。伊藤忠経済研のヘッドラインに引用した後段の企業の分配についての責任も十分考慮する必要がありそうです。
メディアで私が見かけた範囲の2次QE予想に関する記事は以下の通りです。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。
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