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2015年9月18日 (金)

経済協力開発機構 (OECD)「中間経済見通し」Interim Economic Outlook やいかに?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から「中間経済見通し」Interim Economic Outlook が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、最近時点での中国をはじめとする新興国経済の低迷などの要因により、6月の「経済見通し」から2015年▲0.1%ポイント、2016年▲0.2%ポイントと、いずれも下方修正されています。まず、リポートから日本経済の現状と見通しを要約したパラグラフを引用すると以下の通りです。

Quarterly GDP growth in Japan has been erratic. Activity and employment appear to be on an improving path since the 2014 post-tax-hike contraction and the Bank of Japan's re-calibration of its monetary easing. On the other hand, inflationary pressure is virtually nil and tightening labour markets have yet to feed into the higher wages needed to sustain a stronger recovery in consumption and meet inflation objectives. Exports were growing solidly until recently, but despite further yen weakness they fell sharply in the second quarter.

要するに、4-6月期のGDP統計などから景気回復の強さに疑問が提起されており、消費の力強い回復や日銀のインフレ目標の達成にふさわしい賃金上昇にはつながっていないと主張しています。また、円安にもかかわらず4-6月期に輸出が落ち込んだとも指摘しています。今年の3月まで、このリポートは Interim Economic Outlook ではなく、Interim Economic Assessment と称されていたんですが、名称の変更があったようです。また、副題は Puzzles and uncertainties となっています。国際機関のリポートを取り上げるのは、私のこのブログの特徴のひとつですし、いくつかリポートからグラフを引用して簡単に紹介しておきたいと思います。まず、成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。

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上の総括表を見れば明らかなんですが、我が国成長率の下方修正幅は世界経済全体とまったく同じになっています。他方、米国とユーロ圏欧州の成長率の修正幅を見ると、今年2015年が上方修正された上で、来年2016年が下方修正となっています。ただし、修正幅ではなく成長率そのものに目を転ずると、日米欧とも今年2015年から来年2016年にかけて、緩やかながら成長が加速するシナリオが示されています。その上で、成長率の水準としては米国が最も高く、逆に、我が国が最も低くなっています。ユーロ圏欧州は日米の中間的な成長率水準です。

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昨夜のブログで少し触れた中国経済の影響の試算結果は上のグラフの通りです。中国の国内需要成長率が2年間にわたって▲2%ポイント下振れし、かつ、世界各国で株価が▲10%下落して+20ベーシス・ポイントの株価のリスク・プレミアムの上昇を仮定したNiGEMモデルの試算結果です。我が国なんかは、リポートにある "heavily exposed" の国らしく、欧米が▲0.25%ポイントほどのインパクトでとどまっているところ、日本の成長率への中国の影響は欧米の2倍くらい大きい、との結果が示されています。

最後に、米国の連邦準備制度理事会(FED)の公開市場委員会(FOMC)で利上げが見送られましたが、このリポートでは、"rates should need to rise only at a gradual pace. In this context, the timing of the first rate rise will make little difference to the outcome" と主張し、いつ開始するかの利上げのタイミングよりも、そのペースが緩やかであるように配慮すべき、と主張しています。

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