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2015年10月20日 (火)

帝国データバンク「中国の成長鈍化に対する企業の影響調査」の結果やいかに?

このブログでは9月以降に2回ほどチャイナリスクに関する情報を取り上げました。帝国データバンクのケース・スタディと東京商工リサーチのいくつかのデータを含むリポートでした。今夜は帝国データバンク「中国の成長鈍化に対する企業の影響調査」を取り上げたいと思います。企業向けのアンケート調査結果であり、10月15日に公表されています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 中国の成長鈍化により、企業の25.4%が自社の業績に悪影響を受けると見込む。特に、中国への進出が進む『製造』『卸売』のほか、物流を担う『運輸・倉庫』でも3割台となっている。
  2. 中国の成長鈍化で、企業全体の2割が売り上げの減少、1割で利益の減少に直面すると認識している。悪影響を受けると考える企業でみると、「売り上げが減少」が75.8%、「利益が減少」が42.9%。さらに、「中期的な経営計画の見直し」を考える企業も12.8%に上る。
  3. 中国と経済活動を行うときのリスク、「品質管理が困難」が51.0%でトップ。以下、「安全管理意識の低さ」「反日教育」「対日抗議行動」「不透明な政策運営」が続く。すでに、中国経済とのかかわりがある企業では、「賃金水準の上昇」を大きなリスクと捉えている。
  4. 中国との経済活動で日本企業は次の7つのリスクに直面する可能性。1)対日感情・安全保障リスク、2)恣意的な法律運用リスク、3)コスト上昇リスク、4)契約・商習慣リスク、5)株式・不動産バブルリスク、6)品質・安全管理リスク、7)雇用リスク。

もちろん、pdfの全文リポートもアップされていますので、いくつか図表を引用しつつ簡単に紹介したいと思います。

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まず、上の円グラフはリポートから 中国の成長鈍化による業績への影響 を引用しています。中国の成長鈍化により、自社の業績にどのような影響があるか尋ねた結果なんですが、私の予想に反して、「影響はない」が5割弱で最も多くなっています。それなら、現時点での景気の減速感や閉塞感は何だろうかという気がしなくもありません。やや不思議です。また、「悪影響がある」と回答した企業は 25.4%にとどまっており、それでも、企業の4社に1社が中国の成長鈍化で自社の業績への悪影響を見込んでいることになります。他方、「好影響がある」との回答も1.1%ありました。

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次に、上の棒グラフはリポートから引用しており、規模・業界別で 中国の成長鈍化により業績に「悪影響がある」割合 を示しています。当然ながら、規模が大きいほど中国を含むグローバル市場で事業を展開しているため影響が大きくなっており、業界別でもグラフの通りで、製造、運輸・倉庫、卸売などで高く、いずれも30%超の企業が業績悪化への懸念を持っています。中国に進出している企業は製造業が全体の42.9%を占めるなか、チャイナリスクによる倒産件数のうち卸売業と製造業が86.5%を占めている

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次に、上の棒グラフはリポートから中国の成長鈍化の 具体的影響 を複数回答で質問したうちの上位5番目までの結果です。想定の範囲内というか、大方の想像通りなんですが、トップの売上げは中国の国内市場をターゲットとしている企業に当てはまり、2番めの利益は売上げ減はもちろんながら、コストアップも含めれば中国人を雇用して輸出に向ける製造業などについても当てはまるんではないかと考えています。4番目に中期的な経営計画が上げられていますが、単年度やせめて来年度くらいまでの短期の業績だけでなく、中長期の経営戦略までドップリと中国経済に依存している企業があるのかもしれません。

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最後に、上の画像はリポートから 日本企業が直面する7つのリスク を引用しています。中国人の雇用を含めて、中国での経済活動上のリスクについてアンケート調査から、品質管理が51%に達してトップとなったほか、安全管理意識が49.0%、反日教育が40.2%が40%を越え、対日抗議行動、不透明な政策運営、賃金水準の上昇、わいろの横行もこの順で30%超となっており、これらの結果を主成分解により因子を抽出し直交バリマックス回転を行った因子分析の結果が上の画像だそうです。

最後に、日本企業は業績不振を往々にして他社あるいは他者に責任転嫁する傾向もまま見られるんですが、10月15日付けのエントリーでも私が主張したように、少なくとも、中国における賃金の上昇は、開発経済学的にはルイス的な転換点を超えた、ということを意味しており、経済開発の進展の観点からはご同慶の至りだと私は考えています。ですから、企業として新たな経済社会環境に対応すべき面が大いにあると私は考えないでもありません。付け加えておきたいと思います。

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