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2015年10月 5日 (月)

毎月勤労統計に見る賃金は増加の方向にあるのか?

本日、厚生労働省から8月の毎月勤労統計の結果が公表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比+0.5%増、うち所定内給与も同じ+0.5%増となり、また、景気に敏感に反応する製造業の所定外労働時間は季節調整済みの系列で前月比+0.5%増を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質賃金、8月0.2%増 所定外給与の伸び目立つ
厚生労働省が5日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除く実質賃金指数は前年同月より0.2%増えた。2年3カ月ぶりのプラス転換となった前月に続き2カ月連続のプラスだった。残業代などを示す所定外給与の前年からの伸び率が大きかった。ただ夏のボーナスも加味したここ数カ月合計の賃金は前年を下回っており、個人消費の押し上げにつながるかどうかは微妙だ。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。実質賃金指数は名目の賃金指数を消費者物価指数(CPI)で割って算出する。プラスは賃金上昇が物価上昇のペースを上回っていることを示す。
名目賃金にあたる8月の1人当たりの現金給与総額は、27万2382円で前年より0.5%増えた。所定外給与の伸びが目立ち、前年比1.5%増の1万9090円だった。基本給を示す所定内給与も23万9714円で0.5%増えた。
厚労省は6月速報の発表の際、ボーナスの支給時期が昨年よりも後ずれした可能性を指摘した。6月の実質賃金は前年から3.0%減と大幅マイナスとなり、「6-8月の状況を総合的に判断する必要がある」と説明していた。
だが6-8月の実質賃金の前年からの伸びは合計で1.0%減。現金給与総額でみても0.6%減だった。一方で所定内給与では0.4%増だった。3カ月合計でみた数字はまだら模様で、個人消費への影響は見通しにくい状況だ。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

photo

まず、上の所定外労働時間の動きですが、先週公表された鉱工業生産指数の季節調整済みの前月比は▲0.5%減でしたから、所定外労働時間が前月比でプラスを記録したのは、やや方向として逆ではないかという気がしないでもないんですが、いずれもほぼ横ばいを示しており、方向感の定まらない景気の踊り場ですので、月単位の統計ではあり得る動きかもしれないと受け止めています。注目すべきは賃金の動向であり、グラフに示した通り、太線の所定内賃金の前年同月比は着実に上昇幅を拡大しており、6月の現金給与総額が所定外給与の変動によって一時大きく落ち込んだ要因はいまだに不明ながら、いわゆる恒常所得部分である所定内賃金は着実に増加を示しています。これまでのところ、賃金上昇をサポートしている要因は労働市場の内外で2点あり、第1に何といっても人手不足から労働力確保のためにベアの実施をはじめとする雇用条件の改善が上げられ、さらに、第2に国際商品市況における石油をはじめとする商品価格の下落により日本企業の交易条件が改善して企業収益に好影響を及ぼしているからです。
ただし、足元の景気はかなり踊り場的な様相を呈しており、鉱工業生産は足踏みを示していますし、7-9月期のGDP成長率も4-6月期に続いて2四半期連続のマイナスを見込むエコノミストもいる中で、量的及び質的に急激な雇用の改善が進行するとは私は考えていませんが、少なくとも、量的にはほぼ完全雇用となっている中で雇用の増加の足取りは落ち着きを見せる可能性が高い一方で、質的には賃金上昇や正規雇用の増加などが徐々に進むものと期待しています。

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