本日公表の商業販売統計をどう見るか?
本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。商業販売統計のうち、ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列の前年同月比で▲0.2%減の11兆2280億円と、増加を示した前月統計から減少に転じています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の小売販売額0.2%減 6カ月ぶりマイナス スマホなど低調
経済産業省が28日に発表した9月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.2%減の11兆2280億円だった。マイナスは6カ月ぶり。原油安を受けて石油関連製品の価格が低下したほか、スマートフォンやパソコンの販売も低調だった。
もっとも気温の低下により秋物衣料は好調だったことなどで、季節調整済みの指数は前月比で0.7%上昇した。経産省は小売業の基調判断を「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」に据え置いた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は2.6%増の1兆5114億円だった。既存店ベースの販売額は1.7%増だった。既存店のうち百貨店は1.9%増、スーパーは1.6%増だった。
コンビニエンスストアの販売額は5.1%増の9189億円だった。
いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期です。
商業販売統計の見方がやや難しくなって来ているんですが、季節調整していない原系列の前年同月比ではここ数か月でプラス幅を縮小させて、とうとう9月統計では前年同月比マイナスに転じた一方で、季節調整済みの系列では今年2015年3月を底に、一時的な要因で下振れした6月を例外として、9月の最新統計まで半年ほど一貫して増加を示しています。まさに上のグラフの上下のパネルで示した通りです。ただし、消費者物価が下落に転じていますので、原系列の前年同月比マイナスをそのまま評価するべきではありません。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは今週金曜日に公表される予定の消費者物価指数(CPI)のうち、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は▲0.2%と予想されており、もしもこの予想が正しいと仮定すれば、実質で見た小売業販売額は前年同月比でマイナスではなくゼロということになります。季節調整済みの系列では、緩やかながら徐々に上向き傾向が確認されており、9月の場合は上旬の天候要因とか、下旬のシルバー・ウィークの連休とか、いくつか一時的な要因も消費支出を左右した可能性が残るものの、基本的に消費は底堅いと私は見ています。
さて、10月30日に開催される日銀の金融政策決定会合を前に、このブログの昨日のエントリーではシンクタンクのリポートを紹介しましたが、今日からブラックアウト期間に入ることもあって、昨日今日とメディアで追加緩和に関する観測記事がいくつか見られますので、これも順不同でリンクだけ張っておきたいと思います。
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