OECD 未就学児童の教育に関するリポートに見る極めて低い日本の公費負担!
先月10月終わりに経済協力開発機構(OECD)から乳幼児ケアに関する Starting Strong IV: Monitoring Quality in Early Childhood Education and Care というタイトルのリポートが公表されています。このテーマでは第4回目のリポートであり、最初の2001年から2006年、2011年と約5年おきに報告されています。
私はpdfで入手して、250ページ近い英文のリポートですので、とても早々には読み切れないんですが、取りあえず、目についたところで、リポートの p.31 から上のグラフ Figure 1.2. Share of cost to parents and state of early childhood education and care を引用しています。幼稚園や保育園などの就学前教育における家庭と政府の負担割合を示しています。上から1/3くらいのところに日本があり、上の段はいわゆる保育園、下は幼稚園です。いずれも中央政府及び地方政府の負担に不足する家庭=両親の負担は40%ないし50%くらいに達しています。灰色で示されている部分です。スロベニアなどの一部の例外はあるものの、未就学児童に対する教育としては、この表に現れる国の中で日本がとても高い比率を示していることが明らかに読み取れます。
今年2015年8月20日付けの読書感想文のブログでも取り上げたヘックマン教授の『幼児教育の経済学』でも、就学前の幼児期の教育投資が米国経済の不平等の解決などに有効であるとの研究成果が明らかにされており、我が国と米国をまったく同列・同等に考えるのは正しくないかもしれませんが、基本的な精神は同じだと私は受け止めており、不平等や貧困の解決には教育、さらに未就学児童への教育が有効であることは当然であろうと考えられます。しかし、このグラフに見る通り、未就学児童の教育の家庭負担割合が日本では極めて高く、不平等や貧困が世代を超えて連鎖しやすくなっている構造となってしまっています。
未就学児童や家庭に対する社会保障が不足がちになっている背景として、我が国の財政状況とともに、余りにも手厚い高齢の引退世代への社会保障給付があると私はこのブログでも何度か主張してきているところです。世代間の不公平を是正し、不平等や貧困問題を解決し、将来の日本の生産性を高めるため、高齢の引退世代に余りに優し過ぎる現在の日本の社会保障制度の見直しが必要です。
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