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2015年11月 7日 (土)

アッとびっくりの改善を示した米国雇用統計から米国の利上げを考える!

日本時間の昨夜、米国労働省から10月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+271千人増加し、失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して5.0%を記録しています。ちょっとびっくりの雇用増でした。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

Strong Growth in Jobs May Encourage Fed to Raise Rates
Hiring at American companies shifted into higher gear in October, helping to lift wages and clearing the path for the Federal Reserve to raise interest rates next month.
The 271,000 jump in payrolls reported by the Labor Department on Friday was much more robust than expected and suggested that economic growth had enough momentum to allow the central bank to begin its move away from the ultra-low, crisis-level interest rate policy it has been following for nearly eight years.
While there is still a possibility the Fed could hold back, the underlying economic solidity evident in the latest jobs report will strengthen the hand of monetary policy hawks who have long favored an increase in short-term rates. At the same time, it should reassure Janet L. Yellen, the chairwoman of the Federal Reserve, and a majority of her colleagues at the central bank that the economy can handle modestly higher borrowing costs without stress.

この後にエコノミストなどへのインタビューが続きます。やや長く引用してしまったものの、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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市場の事前コンセンサスでは、非農業部門雇用者数の前月からの伸びは、いわゆる雇用回復の目安とされる+200千人増を下回って、+180千人増くらいとされていましたし、しかも、先行指標とされるADP統計でも+182千人増でしたから、米国労働省の政府統計で+271千人増は、ちょっとびっくりの雇用の堅調さを示したと受け止めています。さかのぼっての修正についても、9月分は下方修正して+137千人増になったものの、8月は逆に上方修正して153千人増となっており、今年に入って10か月の平均増加数は軽く200千人を上回っています。失業率も低下して、とうとう5%にタッチしました。失業率が6.5%に低下するまで緩和を続けると、バーナンキ議長のころに連邦準備制度理事会(FED)が設定したのが遠い昔の話のようです。
どこまでこの雇用統計の結果を予測していたのか、していなかったのか、私が接した限りなんですが、統計発表の前の時点ですらFED高官からは強気、というか、タカ派の発言が多かったような気がします。例えば、日経新聞のサイトでは「『米利上げ、12月の可能性』 FRB高官が相次ぎ言及」などと、イエレン議長、フィッシャー副議長、NY連銀ダドリー総裁らの発言が報じられています。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は12月の15-16日の開催ですから、12月4日公表の雇用統計もにらみつつ、利上げに向けた市場との対話を進めるんではないかと私は予想しています。この雇用統計を見れば、当然、市場も違和感なく着々と利上げを織り込むんだろうと考えられます。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や少し前の欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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