企業向けサービス物価上昇率はプラス幅を縮小させつつも前年比で上昇が続く!
本日、日銀から10月の企業向けサービス価格指数(SPPI)が公表されています。ヘッドライン上昇率は+0.5%と先月と同じでした。また、国際運輸を除くコアSPPI上昇率も+0.6%で先月と同じでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
10月の企業向けサービス価格、前年比0.5%上昇 広告価格が上昇
日銀が25日発表した10月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)は102.9で、前年同月比で0.5%上昇した。伸び率は9月確報値の0.5%から横ばいだった。前月比では0.1%上昇した。
品目別に見ると、広告価格が上昇した。検索連動型広告の価格上昇を背景にインターネット広告価格が前年比プラスに転じたことなどが寄与した。宿泊サービスは、中国などの観光需要を背景に前年比11.7%上昇し、9月に続いて前年比の計算が可能な06年1月以来最大の上げ幅を更新した。
外航貨物輸送料金はマイナス幅を拡大した。燃料価格の下落を受けて外航タンカーの長期契約価格の下落が続いた。ただ足元の市況を反映するスポット価格や不定期船は燃料安の影響が一巡し、下げ止まった。リース料率と物件価格の下落でリース価格も下落した。
価格が上昇した品目は61、下落した品目は49だった。上昇と下落の品目数の差は12で、9月確報の16から縮小した。品目数で上昇が下落を上回るのは25カ月連続だった。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
グラフを見れば明らかなんですが、青い折れ線で示した財貨の国内企業物価(PPI)上昇率が国際商品市況における原油価格の下落とともに大きく上昇率を低下させてマイナスにまで低下している一方で、企業向けサービス物価(SPPI)とコアSPPIは底堅くプラスで推移しており、消費増税の影響が一巡した今年2015年4月以降も、ほぼ+0.5%から+1.0%近くのレンジ内の上昇率を示しています。ただ、10月の上昇率はこのレンジの下限かもしれません。このブログで何度か指摘した通り、国際商品市況や原油価格に連動して物価が下落する財貨の国内企業物価と人手不足を反映した人件費アップに連動する割合の高いサービス物価の違いが現れていると考えるべきです。
品目別に細かく見ると、引用した記事にもある通り、広告の前年同月比上昇率がヘッドライン上昇率への寄与が大きくなっています。新聞広告こそマイナス寄与ですが、テレビ広告やインターネット広告がプラスの寄与を示しています。ただ、リース・レンタルがマイナス寄与を記録しています。注目は、中国経済の減速でバルチック指数が大きく下落して500に近づいており、日経新聞の記事などでも「海運不況」が指摘され始めているところ、コアSPPIからは除かれるものの、ヘッドラインでは国際運輸は1000分の10.1を占め、この比率が高いか低いかは議論あるでしょうが、国際運輸は日本経済の需給ギャップではなく新興国の景気がそれなりの影響を及ぼす項目だという意味で攪乱要因となっていることは認識しておくべきかもしれません。
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