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2015年12月11日 (金)

日銀短観12月調査の予想やいかに?

来週月曜日12月14日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。7-9月期の2次QEで企業の設備投資が前期比プラスに修正され、企業マインドとともに設備投資計画にも注目が集まっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2015年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、設備投資計画に着目しています。従って、とても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+12
+25
<+10.9%>
n.a.
日本総研+10
+23
<+10.1%>
大企業・製造業で前年度比+15.9%と、前回調査対比▲2.3%の下方修正を予想。外需環境の不透明感が高まるなか、設備投資が一部先送りされたことなどを受け、これまでの強気の設備投資計画からやや慎重化する見込み。もっとも、低金利や良好な収益環境の持続、維持・更新や省力化・合理化などに向けた投資の必要性の高まりから、高水準での推移が持続。一方、大企業・非製造業では、底堅いインバウンド需要を受け、宿泊・飲食サービスなどを中心に堅調な設備投資計画が維持される見通し。中堅、中小企業では、景況感が過去と比べて比較的高水準で推移するなか、設備投資の腰折れは回避され、例年の足取りに沿った上方修正となる公算。
大和総研+10
+22
<+10.0%>
2015年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年比+6.7%となり、9月短観(同+6.4%)から小幅に上方修正されると予想する。12月短観では、中小企業を中心に設備投資計画が上方修正されるという「統計上のクセ」があるが、今回は通常の修正パターンよりやや弱い結果になると想定している。これは、海外経済の減速などに伴う輸出と生産の停滞などを受け、輸出関連製造業の一部が設備投資に対して慎重姿勢を示すと考えているためである。
みずほ総研+11
+24
<+10.5%>
2015年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年比+6.2%と、9月調査(同+6.4%)からやや下方修正されると予測する。新興国経済の減速を受けた投資様子見姿勢の強まりなどから、設備投資は下方修正となるだろう。しかし、下方修正幅は小幅にとどまるとみている。各種企業アンケート調査において、今年度の設備投資スタンスとして維持更新投資の割合の高さが示されており、企業業績が堅調ななかで大幅な投資縮小の可能性は低いためだ。
ニッセイ基礎研+9
+23
<+9.7%>
15年度設備投資計画(全規模全産業)は、前年度比で6.5%増と、前回調査時点の6.4%増からほぼ横ばいに留まると予想する。例年、12月調査では計画が固まってくることに伴って、中小企業で上方修正される傾向が極めて強いが、大企業の下方修正がその効果をほぼ相殺する。大企業では前回まで非常に強気の計画であったが、今回は冴えない内外経済情勢を受けて、製造業を中心に一部計画の先送りや棚上げの動きが出ると予想している。政府は企業に対する設備投資増額要請を強めているが、効果は見られないだろう。
第一生命経済研+10
+21
<+10.6%>
大企業とは違って、中小企業の設備投資計画は、毎回、上方修正されるパターンを描く。今回はいよいよ、中小企業の製造業・非製造業がともにマイナスの計画からプラス転化しそうである。大企業は下方修正される一方、それを穴埋めするほどに中小企業の投資上積みが進むことが、明るい材料にもなる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+11
+24
<+11.1%>
15年度の設備投資計画は、大企業・中小企業とも、前回9月調査から小幅上方修正される見通し。夏場の株安・円高などを背景に、多くの企業で設備投資の先延ばし傾向が見受けられたが、金融市場が落ち着きを取り戻す中、15年度の下期にかけては、生産・販売用設備の能力増強投資が活発化する見込みである。なお、訪日観光客の急増も、引き続き非製造業を中心とした設備投資の押し上げ要因となろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+11
+26
<+9.5%>
将来的に需要の伸びが期待できない国内から需要の拡大が見込まれる新興国など海外へ投資先を移す流れに大きな変化はないが、国内でも需要の掘り起こしや人手不足に対応する必要性が高まっていることから、設備の維持・更新など競争力を保つために必要最低限の投資だけでなく、生産(販売)能力の拡大や効率化を進めるための前向きな投資もあると考えられる。ただし、8月の中国株価下落以降、内外景気の先行き不透明感が強まったことで、足元では設備投資を先送りする企業も現れている。このため、今回12月調査では計画の下方修正が予想される。
三菱総研+10
+23
<n.a.>
n.a.
富士通総研+11
+21
<+9.7%>
2015年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比6.6%と、9月調査の前年度比6.4%からわずかに上方修正されると見込まれる。企業収益は高水準を維持しており、維持更新投資や省力化投資に対する企業の意欲は引き続き強い。また、アベノミクス以来の円安の定着により、投資の国内回帰の動きが強まったことも、設備投資の追い風になっている。

景況判断DIについては、9月調査の大企業製造業+12、大企業非製造業+25から大きな変化はないものの、ほぼ全機関の予想で企業マインドが小幅悪化すると見込んでいるようです。その悪化幅も産業別の製造業と非製造業で、やや製造業の悪化の方が大きい印象がなくもないものの、大きな差はないように見受けられます。中国などの新興国経済の減速と国内消費の盛り上がりの欠如などが現在の日本経済の踊り場の要因ですから、製造業と非製造業で大きな差がないのも当然かもしれません。設備投資計画についても、日銀短観などの設備投資計画を調査する統計のクセとして、この時期には大企業で下方修正される一方で、中小企業では上方修正される場合が多く、どちらの修正幅が大きいかに依存します。大企業の下方修正幅の方が大きいと見る場合はマイナス修正でしょうし、その逆ならプラス修正と結論されます。しかし、年度の半分以上を終えたこの時期ですから、いずれにせよ、設備投資計画についても大きな修正はないものと私は予想しています。むしろ、注目は来年度の設備投資計画といえるかもしれません。
下のグラフは、いつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから日銀短観予想のうち、設備投資計画、それも全規模全産業の設備投資計画の推移のグラフを引用しています。

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