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2015年12月 2日 (水)

ピュー・リサーチによる表現の自由に関する国際世論調査の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、私がよく参照している世論調査機関ピュー・リサーチ・センターから2週間ほど前の11月18日に Global Support for Principle of Free Expression, but Opposition to Some Forms of Speech と題して言論の自由に関する世論調査結果が公表されています。もちろん、pdfによる全文リポートもアップされています。特に何かがあるというわけでもないんでしょうが、それなりに重要な内容にかかわるリポートですので、図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ピュー・リサーチのサイトから Americans, Europeans and Latin Americans Most Supportive of Free Expression と題する色分け地図を引用すると上の通りです。この世論調査から作成された(0,8)スケールのインデックスによる表現の自由に対する支持の傾向を表しており、緑色の色が濃いほど表現の自由を支持しており、逆に、オレンジ色が濃いほど支持していない、ということになります。なお、白地のまま、というか、無色で壁紙の格子が透けている国は調査の対象外です。タイトル通り、中南米を含む欧米では表現の自由に対して支持に傾きがあり、アジアなどでは豪州などの例外を除いてそれほど強く支持していない、という結果になっています。日本もインデックス中央の4より低い値となっているのが見て取れます。なお、引用はしませんが、インターネットにおけるひょうげの自由についても日本はそれほど支持していない、という結果が示されています。

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続いて、上のテーブルはピュー・リサーチのサイトから Broad Support for Fundamental Democratic Principles を引用しています。宗教実践の自由、男女同権、複数政党による自由な選挙、事前検閲なしに国民が自由に意見を表明し、また、報道機関がニュースを報じ、国民がインターネットを利用できる、といった基本的な民主的原則に対する重要性について問うた結果です。日本で気になる結果は宗教実践の自由の重要性が極めて低い点です。逆に、宗教実践の自由は重要ではなく、制限されるべきである、という風にも解釈できますが、私から見て、どうも、「実践」practice に引っかかっているような気がして、20年前のオウム真理教の影響が現れているのかもしれません。「実践」practice がなく、単なる信教の自由であれば、もっと高いスコアだった可能性を指摘しておきたいと思います。ただ、その他の点についても、日本は必ずしもここに上がられている自由を重視していない、と国民が感じている可能性は十分あります。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Support for Media Coverage of Political Protests と Support for Media Coverage of Economically Destabilizing Issues と Opposition to Media Coverage of Sensitive National Security Issues の3つのグラフを縦につなげてあります。上から順に、メディアは、政治的抗議活動を報道する自由があるか、経済的不安定を引き起こす問題を報じる自由があるか、機微に触れる国家安全保障の問題を報じる自由があるか、の3点であり、国別に結果を示してあります。世界全体での合計はこの順でメディアの報道の自由に対する支持が高くなります。これらの観点からも、大雑把な傾向は変わらず、中南米を含む欧米ではメディアの報道の自由を高く支持し、アジアでは豪州を例外としてメディアの報道の自由への支持はそれほど高くなく、アフリカではアジアと同等もしくは少し支持が高い、といった結果となっています。我が国はメディアの報道に関してもアジアのほぼ中位に位置しているように見受けられます。

最初の地図でインプリシットにお示しした通り、また、軽く想像される通り、中国はこの調査の対象外となっています。あくまで私の勝手な想像ですが、おそらく、中国が調査対象となっていたとい仮定すれば、アジアの表現の自由への支持はさらに低下していたんではないかと考えられます。そうなれば、我が国はアジアの中位から少し欧米並みに近づいていた可能性もあったりします。特に根拠なく、経済評論の日記に分類しておきます。

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