上昇を示す景気動向指数は日本経済の踊り場脱却を示唆するのか?
本日、内閣府から10月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+2.0ポイント上昇して114.3となり、CI先行指数も+1.3ポイント上昇して102.9を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気一致指数、2カ月連続プラス 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した10月の景気動向指数(2010年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数が114.3と、前月比2.0ポイント上がった。9月(0.1ポイント上昇、改定値)から、2カ月連続でプラスとなった。直近数カ月の平均値などから機械的に判断する景気の基調判断は、5月以降と同じ「足踏みを示している」に据え置いた。
前月とデータが比較可能な構成8指標のうち、有効求人倍率を除く7指標が一致指数のプラスに寄与した。寄与度が最大だったのは耐久消費財出荷指数で、乗用車や二輪車の出荷が上向いた。電子部品の生産・出荷が持ち直し、製造業の中小企業出荷指数や鉱工業生産指数も改善した。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.3ポイント上昇の102.9で、4カ月ぶりのプラスだった。新規求人数(学卒除く)のほか、最終需要財の在庫率指数、東証株価指数などが押し上げ要因となった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
グラフを見ても明らかですが、CI一致指数・先行指数ともかなりの上昇幅を記録しています。特に、先行指数についてはここ数か月下落が続いており、まだ後方3か月移動平均はマイナスのままなんですが、少なくとも10月については反発を示しています。一致指数も先行指数の上昇が続くのであれば、先行きもプラスで推移する可能性が高いと解釈されます。ただし、それほど単純な運びになるかどうかは確固たる自信はありません。年内から年明けの景気については、私自身は横ばい圏内での推移となる可能性が高いと受け止めています。もっとも、年末ボーナスの増加と在庫調整が早期の終了と中国経済の回復などが景気を刺激する可能性は否定できません。補正予算よりも、そのあたりに期待したいという気がします。
CI一致指数の個別系列でもプラス寄与を示す系列が多く、引用した記事にもある通り、8系列のうち7系列がプラスを示しています。特に、耐久消費財出荷指数、中小企業出荷指数(製造業)、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数の6系列がこの順で寄与が大きく、しかも、+0.20以上の寄与度を示しています。マイナス寄与は有効求人倍率(除学卒)くらいのものです。CI先行指数では逆に新規求人数(除学卒)のプラス寄与が最も大きく、次いで、最終需要財在庫率指数や鉱工業用生産財在庫率指数といった系列が上げられます。もっとも、在庫調整が進むという意味ですので逆サイクル系列です。一致指数と先行指数の両方を併せて見ると、出荷が伸びて在庫が低下し、在庫調整が進んでいることが示されています。
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