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2015年12月16日 (水)

訪日外国人数はどこまで増えるのか?

本日、政府観光庁(JNTO)から最新の訪日外客数統計が公表されています。JNTOが独自に算出している推計値は11月統計まで、法務省データを基にした暫定値は9月まで利用可能です。訪日外国人全体では前年同月比で+41.0%増の164万7600人、中国人に限れば+75.0%増の36万3000人と、引き続き、大きく増加しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

訪日外国人、11月は前年比41%増の164万人 中国からは75%増
日本政府観光局(JNTO)が16日発表した11月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比41.0%増の164万7600人だった。11月としての最高を更新した。円安によって日本での買い物が割安になっている。原油安や査証(ビザ)の発行要件緩和、航空路線の拡大などの好条件が重なり、客数の増加が続いている。
地域別で見ると中国からの旅行者が全体の22%と一番多く、韓国をわずかながら上回った。訪日中国人客数は前年同月比75.0%増の36万3000人。10月は99.6%増で、伸び率はやや鈍化した。韓国で中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の流行が終息したことで、韓国に旅行する中国人が増えているとJNTOは分析している。中国からのクルーズ船は30隻(前年同月は9隻)が寄港した。船が満席だったと仮定すると8万人(同1万8000人)が訪れたことになる。
その他の地域では、韓国が50.5%増の35万9800人、台湾は25.4%増の29万6500人だった。主要20市場では19市場が11月としての過去最高を更新し、マレーシアは単月でも過去最高だった。減少したのはロシアのみだった。11月13日にフランスの首都パリ市で同時テロが発生したが、訪日需要への影響は限定的だったという。
全ての国・地域の2015年累計(1-11月)では前年同期比47.5%増の1796万4400人だった。過去最高だった昨年1年間(1341万人)を既に大きく上回っている。政府は2020年に訪日客数を2000万人にする目標を立てていたが、年度内には目標数値を上積みする。

まずまずコンパクトに取りまとめられているという気がします。次に、訪日外国人数の前年同月比増減率は以下のグラフの通りです。赤い折れ線の総数のほか、韓国、中国、台湾の増加率をプロットしています。色分けは凡例の通りです。

photo

黄色い折れ線グラフの中国からの訪日客の伸び率がこの数か月でやや低下して来ていますが、それでも+50%増くらいの伸びを示し、韓国や台湾からの訪日客もしっかり増加しています。1-11月の累計でも昨年から+50%近い伸びを示していて、すでに1800万人近くに達しています。ビザなどの各種手続きが簡素化されたのも増加要因に上げられるんですが、やっぱり、為替による価格要因が大きいんではないかと私は考えています。もちろん、中国をはじめとする近隣諸国の所得が増加しているという所得要因もありますが、訪日外国人の増加は近隣諸国の平均値というよりも富裕層の行動ではないか、と私は受け止めています。
すでに10月21日に同じくJNTOから公表されている今年7-9月期の訪日外国人消費動向調査では、訪日外国人1人当たりの旅行支出は187,165円に上り、前年同期(158,254円)に比べて+18.3%の増加を示しており、旅行消費額では1兆0,009億円と前年同期(5,505億円)に比べて+81.8%もの増加となり、7四半期連続で過去最高値を記録するとともに、四半期ベースで初めて1兆円を突破しています。現在の我が国の名目GDPは2014年度で500兆円をやや下回っていますので、四半期ごとに1兆円を超える外国人観光客の旅行消費があれば、大雑把にGDP比で1%に近い額ということになります。「爆買い」という言葉も一定の認知度を得ましたが、私なんぞが言うまでもなく、この外国人観光客の消費が持つ経済的なインパクトは決して小さくないと考えるべきです。

最後に、フランスでのテロの影響ですが、海外旅行を手控える縮小の効果と海外旅行先をフランスやあるいは欧州などから日本に振り替える代替の効果の影響で、どちらが大きいかに依存します。何の根拠もなく直感的に、前者の海外旅行自体を手控える効果の方が大きそうな気がします。ただ、影響は極めて限定的なものと私は予想しています。

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