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2016年1月25日 (月)

12月貿易統計に見る黒字は定着するか?

本日、財務省から昨年2015年12月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない現系列のデータで前年同月比▲8.0%減の6兆3376億円、輸入額は▲18.0%減の6兆1973億円、差し引き貿易収支は+1402億円の黒字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

15年の貿易赤字、2兆8322億円 原油安で赤字額は10兆円縮小
財務省が25日発表した2015年の貿易収支は2兆8322億円の赤字だった。原油価格の下落によって原油の輸入額が前の年から4割以上減少したことなどで、貿易赤字は過去最大だった14年(12兆8161億円)から約10兆円縮小した。貿易収支は東日本大震災のあった11年以降、5年連続で赤字になったが、赤字幅は徐々に縮小している。
15年通年の輸出額は3.5%増の75兆6316億円だった。輸出為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=121円00銭と前の年から14.9%の円安になり、円建ての輸出額を押し上げた。自動車輸出の伸びが目立った。ただ輸出数量指数で見ると1.0%減だった。輸入額は原油安によって8.7%減の78兆4637億円だった。リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ09年以来、6年ぶりに減少した。一方、欧州連合(EU)諸国や中国からの輸入は遡れる1979年以降で最大になった。EUからは医薬品、中国からはスマートフォン(スマホ)の輸入が増えた。
同時に発表した12月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1402億円の黒字(前年同月は6656億円の赤字)だった。貿易黒字は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1100億円の黒字だった。輸出の減少率は12年9月以来、3年3カ月ぶりの大きさだった。半面、原油価格の大幅下落による輸入額の減少がより大きく、貿易収支は黒字化した。輸出額は前の年から8.0%減の6兆3376億円だった。米国向けの輸出が16カ月ぶりに減少した。原油安を受けて建設用・鉱山用機械などの落ち込みが大きかった。アジア向けの輸出も素材や電子部品などが落ち込んだ。輸入額は18.0%減の6兆1973億円だった。

年データに着目しつつも、最終パラの月次データについては、なかなかコンパクトに取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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グラフから明らかなように、輸出入とも12月統計は減少を示しました。需要面から見て、日本の国内外とも景気指標としては弱めの内容と受け止めています。しかし、貿易収支は、まず、季節調整していない原系列の統計で見て、12月は10月にツすいて黒字を記録していますし、季節調整済みの系列では11月統計から黒字化して12月統計では黒字幅が拡大しています。いうまでもなく、輸出の増加というよりは輸入の減少、特に、国際商品市況における石油価格の低下による輸入額の減少から我が国の貿易収支が黒字化していると考えるべきです。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスともジャストミートでした。私は貿易収支はゼロ近傍で膠着すると見ていたものの、国際商品市況の動向がは極めて不透明ながら、現時点での石油価格がしばらくは続くと仮定すれば、貿易収支が黒字化して定着する可能性も出て来たのではないかと受け止めています。細かな品目別や地域別の貿易統計をすべて見たわけではありませんが、少なくとも、我が国の輸出の主力品目である米国向けの自動車輸出は回復を見せており、輸出の底入れも近い可能性が出て来ました。残るは中国なのかもしれません。

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よいうことで、上のグラフはいつもの輸出の推移をプロットしています。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同期比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、輸出数量は相変わらず伸び悩んでいるんですが、繰り返しになるものの、米国連邦準備制度理事会(FED)による利上げに伴う為替の円安方向への振れを別にしても、中国の需要をはじめとして、この輸出の停滞もほぼ最終ステージに入ったんではないかと私は考えています。

最後に、7-9月期の2次QEでは外需寄与度がプラスを記録していますが、10-12月期についても、詳細は経常収支次第ですが、貿易収支だけからラフに見てもGDPベースで外需はプラスの寄与を示しそうです。2月15日の1次QEの公表を待ちたいと思います。なお、メディアでは2015年の貿易赤字が2014年から大幅に減少した点が強調されているように私は受け止めていますが、このブログは景気動向に着目していますので月次データを中心に取り上げています。年データには余り関心がないので悪しからず。

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