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2016年1月 6日 (水)

TPP協定の経済効果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、2015年10月5日に大筋合意をした環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関して、その経済効果を分析したリポート「TPP協定の経済効果分析」が昨年2015年12月24日に政府から明らかにされています。結論として、実質GDPは+2.6%増、2014年度のGDP水準を用いて換算すると、約+14兆円の拡大効果が、また、労働供給は約+80万人増と見込まれる、との推計結果が示されています。図表を引用しつつ、簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上の画像は少し見づらいんですが、リポート p.34 の 図表4-1: GDP増加のメカニズムと導入されているダイナミックなメカニズム を引用しています。見れば分かりますが、TPP協定による外生的なインパクトとして、(1) 関税率の引き下げ、(2) 貿易円滑化と非関税障壁の削減、の2点に起因する輸出入の増加などを仮定した上で、内生的な成長メカニズムとして、① 貿易開放度上昇が生産性を押し上げ、② 実質賃金率上昇が労働供給を拡大し、さらに、③ 投資増が生産力を拡大する、といった実体経済への3つのルートを定式化しています。上の図では、より具体的に、図中①は拡大する貿易により日本経済全体の生産性が高まる経路を示し、そして②は高まった生産性によって賃金が押し上げられ、実質所得増だけでなく労働供給が促される経路を示している。最後に、図中③は投資が供給能力を高める経路を示している。関税率引下げや円滑化措置・非関税障壁削減によって生じた物価下落や①や②のメカニズムによって生じた生産性向上が実質所得増、投資増へとつながり、供給能力を高める、ということとなります。

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次に、上の画像は少し見づらいんですが、リポート p.35 の 図表4-2: GDP変化 を引用しています。結論として、最終的な実質GDP水準は+2.6%程度増加し、これを2014年度の実質GDP水準で換算すると+14兆円程度の押上げになります。その際、労働供給も+1.3%程度増加すると見込まれており、これを、これも2014年度の就業者数をベースに人数換算すると+80万人程度に相当することとなります。また、資本ストックについても+2.9%程度増加すると試算されています。
なお、これらの経済効果をリポートでは、GTAPモデルのシミュレーションにより試算・計測しています。GTAP とは Global Trade Analysis Project の省略であり、このモデルは米国のパーデュー大学により開発・運営されていて、おそらく、関税分析や環境分析などの分野の世界標準モデルであると私は認識しています。

モデルによる試算は絶対に正しいとは言い切れず、ある程度の幅を持って見るべきですが、一国経済が開放性を高めて自由貿易に近づくと経済厚生が高まるのは、少なくともエコノミストの間では自明とさえされています。ただし、TPPによりプラスの経済効果を享受するグループがある一方で、逆に、経済厚生をロスするグループが現れる可能性があります。アベノミクス第2弾は分配にも留意すべき段階に入ったと私は受け止めています。

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