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2016年2月23日 (火)

賃金構造基本統計調査の結果の概況に見る賃金格差やいかに?

先週木曜日2月18日に厚生労働省から「平成27年賃金構造基本統計調査」の結果の概況が公表されています。年1回調査され、「賃金センサス」とも呼ばれている大規模調査で、もちろん、pdfの概況リポートもアップされています。実は、昨年5月に私が書き上げたディスカッションペーパー「ミンサー型賃金関数の推計とBlinder-Oaxaca分解による賃金格差の分析」は過去のこの調査の個票データを分析したものです。私の研究成果の宣伝はともかく、調査結果の概況によれば、フルタイムの一般労働者の月額賃金は男女計で304,000円の前年比+1.5%増、うち男性335,100円+1.7%増、女性242,000円+1.7%増で、それぞれ前年を上回っており、特に、女性の賃金は過去最高を記録しています。また、パートタイムの時給も男性1,133円前年比+1.2%増、女性1,032円+2.0%増で、いずれも過去最高となっています。なお、賃金センサスの調査対象は5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所なんですが、先週公表された結果の概況は10人以上事業所について集計しています。主として賃金格差に着目してグラフを引用しつつ簡単に紹介しておきたいと思いますが、用語の定義や統計の詳細については厚生労働省のサイトに情報があります。

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まず、概況リポートの p.5 第2図 性、年齢階級別賃金 は上の通りです。男女別の格差は歴然です。すなわち、女性の場合は昇給が緩やかなのか、男性に比較して賃金カーブがかなりフラットで、しかも、年齢階級別で見たピーク時の賃金で大きな差があることが見て取れます。この差は平均値の差よりも大きくなっています。

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次に、概況リポートの p.6 第3図 学歴、性、年齢階級別賃金 のうちの男性のグラフは上の通りです。大学・大学院卒と高専・短大卒と高校卒の3分類の比較なんですが、容易に想像される通り、通常考えられる見方に従って学歴が高いほど賃金カーブが上方にあり、ピーク時賃金が高くなっています。注目すべきは、高専・短大卒と高校卒の間の格差よりも、大学・大学院卒と高専・短大卒の間の格差の方が大きい点です。グラフは引用しませんが、この点は女性も同じです。

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次に、概況リポートの p.7 第4図 企業規模、性、年齢階級別賃金 のうちの男性のグラフは上の通りです。このリポートでは、常用労働者1,000人以上を「大企業」、100-999人を「中企業」、10-99人を「小企業」に区分していますが、見れば明らかな通り、企業規模が大きくなるほど賃金カーブは上方に位置しています。なお、グラフの引用は割愛しますが、第6図の産業別賃金について、男性の年齢階級別の月額の賃金ピークを見ると、金融業・保険業645.1千円、教育・学習支援業554.4千円、医療・福祉521.7千円、製造業411.7千円、サービス業(他に分類されないもの)336.0千円、宿泊業・飲食サービス業326.9千円などとなっています。

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次に、概況リポートの p.11 第6図 雇用形態、性、年齢階級別賃金 のうちの男性のグラフは上の通りです。何かと注目の集まっている正規・非正規の格差ですが、上のグラフで一目瞭然です。正規雇用が昇給などにより平均月額400万円を超える賃金を受け取る年代がある一方で、非正規雇用では賃金カーブがほとんどフラットで平均月額は250千円にも達しません。現政権は「同一労働同一賃金」を目指すと明言していますが、労働内容が異なるので賃金格差が存在するのか、それとも、似たような労働内容なのに雇用形態の起因して賃金格差が生じているのか、この調査結果だけでは明らかではありませんが、後者であるならば、同じ労働で同じ賃金を受け取れるのは正しい方向への改革ではなかろうかと私は思っています。なお、雇用形態間賃金格差については、概況リポートの p.12 に企業規模別主要な産業別などの詳細な情報を含むテーブルが掲載されています。

グラフは引用しませんが、最後に、都道府県別に見た地域別の賃金格差について、概況リポートの p.15 第9図 都道府県別賃金 から数字だけ拾うと、全国の男女計の月額賃金が304.0千円なんですが、これを上回っているのは東京都をはじめとする7都府県だけです。すなわち、月額賃金の多い順で、東京都383.0千円、神奈川県335.1千円、大阪府327.1千円、愛知県315.2千円、京都府308.8千円、千葉県306.0千円、埼玉県304.4千円です。地域間の賃金格差については、この事実だけをお示しすればコメントは不要かと思います。

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