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2016年2月29日 (月)

鉱工業生産指数と商業販売統計はともに冴えない結果に終わる!

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数商業販売統計が公表されています。生産は季節調整済みの前月比で+3.7%の増産となった一方で、小売業販売は季節調整していない原系列の前年同月比で見て▲0.1%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産、3.7%上昇 基調判断は「一進一退」
経済産業省が29日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比3.7%上昇の99.8だった。3カ月ぶりの上昇となり、QUICKがまとめた民間予測の中央値の3.3%上昇も上回った。半導体製造装置や自動車、スマートフォン用電子部品などで生産が伸びた。
もっとも2月の予測指数は5.2%の低下となり、経産省は生産の基調判断を「一進一退で推移している」に据え置いた。2月はトヨタ自動車が国内工場の稼働を停止した影響が出るほか、電子部品などでも減産が見込まれている。
1月の業種別では15業種中12業種で生産が伸びた。はん用・生産用・業務用機械が7.3%上昇となり、輸送機械も2.9%上昇だった。国内向けを中心に出荷も好調で、出荷指数は3.4%上昇の97.9となった。
在庫指数は0.3%低下の112.0、在庫率指数は2.1%低下の113.6だった。経産省では在庫について「機械関連で在庫調整が進む一方、鉄鋼やパルプなど素材関連の業種では調整が遅れている」としている。
1月の小売業販売額、前年比0.1%減 基調判断を引き下げ
経済産業省が29日発表した1月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.1%減の11兆4790億円だった。マイナスは3カ月連続。季節調整済みの前月比では1.1%減った。
経産省は小売業の基調判断を「弱含み傾向」とし、前月の「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」から引き下げた。業種別では、原油安の影響が続き燃料小売業が前年同月から11.4%減と落ち込んだ。一方、自動車や飲食料品の増加は小売業販売額を下支えした。
百貨店とスーパーを含む大型小売店の販売額は2.1%増の1兆6915億円。既存店ベースでは1.0%増で、うちスーパーは2.4%増、百貨店は1.5%減だった。コンビニエンスストアの販売額は4.9%増の8849億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、2つの統計の記事を並べるとそれなりのボリュームになります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は次の雇用統計とも共通して景気後退期です。

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まず、鉱工業生産ですが、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+3.3%の増産でしたから、これを上回っていることは確かなんですが、先月の統計公表時点での製造工業生産予測調査では1月は+7.6%の増産でしたから、かなりの下振れと私は受け止めています。しかも、下振れしやすい傾向にある製造工業生産予測調査で見て、2月▲5.2%の減産の後、3月はリバウンドも弱く+3.1%増ですから、先行きもジグザグの動きを繰り返しつつ、決して回復軌道に乗ることが確実というわけでもなさそうです。特に、広く報じられた通り、2月の生産は鋼材メーカーの事故に伴うトヨタ自動車の生産ラインの停止の影響が何らかの形で現れると覚悟すべきです。では、どうして1月が+3.7%の増産になったかといえば、単に中国の春節効果と考えられ、サステイナビリティはなさそうです。他方、製造工業生産予測調査は先行きで下振れすることがかなり確実なんですが、この伸び率をそのまま鉱工業生産指数に当てはめると、1-3月期は私の計算では+1.1%の増産になります。来週3月8日に昨年2015年10-12月期の2次QEが内閣府から公表された後、足元の1-3月期はほぼゼロかわずかにプラス成長と私は予想していたんですが、今日発表の生産統計を見て、何人かのエコノミストは1-3月期も2四半期連続でマイナス成長の可能性が出て来た、と主張し始めていたりします。そうかもしれませんが、私はまだうるう年効果に期待してプラス成長を見込んでおきます。

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次に、商業販売統計です。これも生産統計と同じようにふるわない結果に終わりました。すなわち、季節調整していない原系列の小売業販売が3か月連続でマイナスを記録し、季節調整済みの前月比でもマイナスを続けていますので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を前月の「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」から「弱含み傾向」に引き下げています。特に1月が月前半の暖冬で季節商品などの国内消費が伸び悩んでいる一方で、昨年末からいわゆるインバウンド消費も一服感が出始めています。例えば、百貨店協会の統計によれば、店舗数調整後の季節調整していない百貨店売り上げの前年同月比で見て、昨年は10月の+5.7%増まで割合と順調に売り上げを伸ばしていたんですが、11月に▲1.4%減を示し、12月は+1.3%増となったものの、今年1月は▲1.9%減と落ち込んでいます。2月はうるう年と春節のダブル効果でプラスとなる可能性もありますが、昨年10月までのペースを考えれば、中国経済の低迷と為替動向により、インバウンド消費にブレーキがかかった可能性も否定できません。

先行きの日本経済を考えるポイントは従来からこのブログで主張している通り2点あり、いずれも膨大に積み上がった企業のキャッシュフローをいかに経済活性化につなげるかがカギになります。ひとつは賃上げ動向です。国内消費を喚起するには、企業が内部留保で溜め込んだキャッシュを従業員に還元する必要があります。もうひとつは設備投資です。日銀短観などのソフトデータに示された設備投資マインドがホントに維持されているのかどうか、私はまだ確信が持てませんが、もしも企業経営者のアニマル・スピリットが委縮していないのであれば、年度内はムリとしても、まだ設備投資が出る余地は残されているんではないかと期待しています。ただし、囚人のジレンマに陥っている可能性もあります。すなわち、賃上げにせよ設備投資にせよ、ヨソの会社がやってくれて、自社がやらなければフリーライドできる可能性があります。そこまで日本企業経営者のアニマル・スピリットがダメージを受けているのだとすれば、悲しい結果に終わる可能性も否定できません。

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