企業向けサービス物価はプラス圏内で推移も上昇率は鈍化!
本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は+0.2%と、前月の+0.4%からやや上昇幅を低下させています。また、国際運輸を除くコアPPIの前年同月比上昇率は+0.4%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の企業向けサービス価格、前年比0.2%上昇 人件費転嫁の動き鈍る
日銀が24日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)は102.5と、前年同月に比べ0.2%上昇した。前年比の上昇は31カ月連続だが、伸び率は2015年12月確報値の0.4%から0.2ポイント縮小し、指数は15年2月以来11カ月ぶりの低水準になった。前月比では0.6%下落した。
品目別では広告価格が上昇した。企業業績の改善でテレビ広告の出稿が活発だったほか、インターネット広告も不動産関連を中心に上昇した。一部銀行で口座振替手数料の引き上げがあったほか、月刊誌の定期購読料の値上げも全体を押し上げた。
一方、「昨年に比べ人件費の上昇分を価格転嫁する勢いが鈍った」(調査統計局)という。税理士サービスで値下げの動きがあったほか、事務職を除く労働者派遣サービスで値上げがなかったことも響き「諸サービス」が全体を押し下げた。円高で輸入複写機の価格が下がったため、リースも価格を押し下げた。
宿泊サービスの上昇も鈍化した。上昇は47カ月連続だが、中国経済の減速や株式相場の下落などを背景に予約がやや落ち着いた動きになっているという。年始の連休が短かった影響で、国内航空旅客輸送は前月の横ばいから下落に転じた。
上昇品目は61で、下落は51。上昇品目と下落品目の差は10と、前月の14から縮小した。上昇品目が下落品目を上回るのは13年10月以来28カ月連続となった。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
昨年2015年3月で一昨年の消費増税の物価への影響も一巡し、ヘッドラインSPPIの前年同月比で見て昨年年央の7月+0.6%、8月の+0.7%から徐々に上昇率は鈍化し始め、今年2016年1月の速報値では+0.2%を記録しています。2月の前年同月比上昇率への寄与を見ると、広告が+0.03%、金融・保険と情報通信がともに+0.01%のプラスの寄与を示している一方で、機械修理や法務・会計サービスといった諸サービズが▲0.07%、また、リース・レンタルも▲0.05%のマイナス寄与となっています。上昇率が鈍化していますのでマイナス寄与に着目すると、リース・レンタルについてはサービスとはいっても、貸し出す方の機械器具の建設機械などが石油価格の下落により価格を下げていますので、国際商品市況における石油価格下落の影響をかなり受けているといえます。しかし、諸サービスについては石油価格下落の影響はおそらく限定的であり、人手不足の影響の方が強いんではないかと私は受け止めているわけで、やや理解に苦しむところです。引用した記事を見る限り、確定申告の時期を前にして税理士サービスの値引き競争があったよう印象を私は受けたんですが、全般的な人手不足が解消に向かっているという統計的なエビデンスはなく、よく判りません。単に、一時的な要因なのかもしれません。もう少し物価の推移を見守る必要がありそうな気もします。ですから、先週2月16日から日銀の追加緩和としてマイナス金利が実施されていますが、当面はこの緩和策の影響を見つつ、物価が日銀のインフレ目標に届かないようであれば、さらなる追加緩和を模索するという金融政策動向になるんではないかというのが常識的なエコノミストの見方ではないかと受け止めています。
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