1月の機械受注はイレギュラーな大型案件で大幅増!
本日、内閣府から1月の機械受注が公表されています。船舶と電力を除くコア機械受注は季節調整済みの系列で前月から+15%増加して9347億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
機械受注、1月は前月比15.0%増 大型案件寄与、判断は据え置き
内閣府が14日発表した機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の1月の受注額(季節調整値)は、前月比15.0%増の9347億円だった。プラスは2カ月連続。伸び率は比較可能な2005年度以降で最高だった。受注額はリーマン・ショック前の08年6月(9571億円)以来の高水準。鉄鋼業からの大型受注が寄与し、製造業が41.2%増と大きく伸びた。
一方、官公庁や外需を含む受注総額では8.8%減の2兆586億円と、2カ月ぶりにマイナスだった。製造業の受注増について「大型案件の影響を除けば12月と同程度の水準」(内閣府)という。機械受注の基調判断は前月と同じ「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
製造業の受注額は4625億円で、3カ月ぶりにプラスとなった。鉄鋼業で火水力原動機と化学機械に大型案件があった。船舶や航空機などの受注も伸びた。非製造業(船舶・電力除く)の受注額は1.0%増の4818億円と、2カ月連続で増えた。金融業・保険業や不動産業などから受注が伸びる一方、通信業や卸売業・小売業は減った。
内閣府は1-3月期の受注額(船舶・電力除く民需)が前期比6.4%増えると予測している。1月の受注額が高めの水準となり、2月と3月はそれぞれ前月比4.8%減より高い水準で見通しを達成する。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。さすがに、景気敏感指標ですので、暦年統計への注目度はかなり低いようです。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、一応、2%程度の小幅なプラスが予想されていましたが、引用した記事にもある通り、鉄鋼業でイレギュラーな大型案件があり、季節調整済みの系列で見たコア機械受注は前月比で大幅増となったものの、記事にある内閣府からの情報に従えば、実態は12月と同水準とのことらしいです。ということで、昨年年央から企業の設備投資に対するマインドを表すソフトデータには大きな変化はないと考えている一方で、まったく同様に、本日公表の機械受注や資本財出荷などに見られるハードデータとの乖離もまだ残されていると受け止めています。ただし、先週3月11日に公表された法人企業景気予測調査や4月に公表予定の日銀短観などの設備投資計画より、今年に入ってからの金融市場における為替動向や株安などを目にすると、直感的にはハードデータに現れている設備投資動向が、企業のマインドを暗黙裡に表わしていて、それは例えば、法人企業景気予測調査で示された景況感に見られる通りである、というような気がしています。そうなると、現在進行形の春闘における賃上げに影響が波及し、人手不足にもかかわらず賃上げが進まず、しかも、消費動向にストレートに影響が現れると仮定すれば、拡大的な経済の好循環が実現されない可能性があるんではないかと危惧しています。
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