ピュー・リサーチによる労働力の自動化の将来見通しやいかに?
先週木曜日の3月10日にピュー・リサーチ・センターから労働力の自動化に関する将来見通し Public Predictions for the Future of Workforce Automation についての世論調査結果が公表されています。今年2016年1月7日付けの記事で野村総研の試算により、人工知能やロボット等による労働の代替確率が日本では49%に上る、との結果を紹介していますが、同じような文脈で、米国国民の世論がどのような見方をしているかの調査結果です。まず、調査のサマリーをピュー・リサーチのサイトから引用すると以下の通りです。
Public Predictions for the Future of Workforce Automation
A majority of Americans predict that within 50 years, robots and computers will do much of the work currently done by humans - but few workers expect their own jobs or professions to experience substantial impacts
ということで、極めて簡潔に取りまとめてあります。次に、その根拠となるグラフを同じくピュー・リサーチのサイトから引用すると以下の通りです。
上のグラフは "Two-thirds of Americans expect that robots and computers will do much of the work currently done by humans within 50 years …"、下は "... but more workers expect that their own jobs will exist in their current forms in five decades" とそれぞれタイトルされています。見ての通りです。野村総研の試算結果では、10-20年後の時点において、日本の49%とほぼ同じ水準の47%の労働代替率が米国でも見込まれていますが、米国国民の将来見通しはかなり異なっているようです。ロボットとコンピュータがかなり多くの仕事において人間労働を代替するとはいうものの、80%は彼ら自身の職が維持されると見込んでおり、職が失われる18%に比較して圧倒的に多い結果となっています。しかも、野村総研試算の10-20年後ではなく、もっと将来の50年後における見通しです。私は将来見通しをもっとも不得手とする経済学を専門分野とするエコノミストであり、何ともいえませんが、普通はこの間のどこかに正解がありそうな気もします。また、図表は引用しませんが、従業員の勤務先別で分類すると少し違いがあり、大企業と中小企業との間には大きな差はないものの、政府・教育機関・非営利組織の勤務者については、ロボットとコンピュータによる人間労働の代替はより起こりにくく、50年後でも職は失われない、と考えているようです。50年後まで私の寿命は続かないでしょうから、この目で確かめるのは不可能だと思いますが、果たしてどうなりますことやら?
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