機械受注と設備投資はこの先どうなるのか?
本日、内閣府から2月の機械受注が公表されています。船舶と電力を除くコア機械受注は季節調整済みの系列で前月から▲9.2%減少して8487億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の機械受注、前月比9.2%減 3カ月ぶり減、市場予想は上回る
内閣府が11日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の2月の受注額(季節調整値)は、前月比9.2%減の8487億円だった。マイナスは3カ月ぶり。鉄鋼業からの大型受注で伸びた1月(15.0%増)の反動が出た。ただQUICKの市場予想(12.0%減)は上回った。内閣府は機械受注の基調判断を前月までと同じ「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
製造業からの受注額は30.6%減の3210億円で、2カ月ぶりに減少した。減少幅は統計開始以来、過去最大だった。1月に急増した鉄鋼業からの受注が92.7%減となったほか、電気機械や情報通信機械といった業種でも引き合いが減った。
一方、非製造業(船舶・電力除く)の受注額は10.2%増の5310億円と、3カ月連続で増えた。運輸業・郵便業からの鉄道車両や情報サービス業で電子計算機などの受注増が寄与した。内閣府は2月の受注動向を巡り、1月の鉄鋼業からの大型案件の影響を除いて比べれば「底堅さを保っている」との見方を示した。
内閣府の1-3月期(船舶・電力除く民需)の見通し(前期比6.4%増)は、3月の受注額が前月比4.6%以上なら達成できるとしている。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
1月にイレギュラーな大型案件が入った反動で2月の機械受注は減少に転じています。ただし、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの▲12.0%減ほどのマイナスではありませんでした。という意味も含めて、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直しの動き」に据え置いています。上のグラフの上のパネルでも、6か月後方移動平均はやや上向きになっているのが確認できるかと思います。私の直観としても機械受注、というか、設備投資動向については横ばいないし底堅い動きと受け止めており、現在の需要動向に見合っているものと考えていますが、いまだに、日銀短観などで示されたソフトデータの2015-16年度の設備投資計画に対して、ハードデータの機械受注や鉱工業生産指数のうちの資本財出荷などが弱めに出ているような気がしてなりません。
もっとも、元に戻りますが、日銀短観に示されたような企業マインドとしては設備対する過剰感はほぼ払拭されており、生産要素需要としては人手不足に対応する設備への要素間の代替需要も十分考えられ、それはそれで企業マインドとしては設備投資意欲は大きく損なわれているわけではなく、企業マインドとしては整合的な気もします。ですから、現時点の足元では為替や株価といった金融市場動向に対する不透明感などから設備投資を先送りしている状況なのかもしれません。中国経済の回復や経済政策による底上げなどの先行きの明るい兆しが見え始めれば、ひょっとしたら、あくまでひょっとしたら、なんですが、設備投資は「爆発」とまではいかないかもしれないものの、それなりの伸びを見せる可能性はまだ残されているように私には見えます。
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