4月の商業販売統計に見る熊本地震の影響やいかに?
本日、経済産業省から4月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売は季節調整していない前年同月比で▲0.8%減の11兆4660億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の小売業販売額、0.8%減 基調判断「弱含み傾向」に据え置き
経済産業省が30日発表した4月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.8%減の11兆4660億円だった。2カ月連続で前年を下回った。原油安で燃料小売業の減少が続いたほか、テレビやデジタルカメラなどの販売もふるわなかった。季節調整した前月比は横ばいとなった。
経産省は小売業の基調判断を「弱含み傾向」に据え置いた。大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で前年比0.1%減の1兆5458億円だった。百貨店の既存店販売は3.6%減となった。婦人服などの衣類が低調だったことが響いた。一方、スーパーでは主力の飲食料品が好調で、既存店販売は0.8%増だった。
コンビニエンスストアの販売額は4.5%増の9190億円となった。食品などが好調だった。
いつもながら、コンパクトかつ包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。
消費の回復が引き続き思わしくありません。4月については、単月の要因として、熊本地震の影響はあり得ますが、全国でならすとそれほど大きなマイナス要因とも思えません。基本的な傾向として、統計作成官庁である経済産業省の基調判断にあるように「弱含み傾向」ということになるんでしょう。繰り返しになりますが、私がチェックした範囲で地方の統計が分かるものは、百貨店・スーパー小売売上額なんですが、全国の▲0.1%減に比べて、九州ブロックでは▲4.6%減を記録していて、その中でも熊本県では▲33.7%、特に政令市の統計を見ると、熊本市では▲45.2%減となっていることから、熊本地震の影響は確かに見られます。しかし、これも私が見た範囲で、この売上げ減は全国ベースに引き直せば▲0.3%くらいの寄与度と試算した同業者エコノミストのリポートもありましたから、熊本地震の影響を別に考えても全国ベースで前年同月比マイナスは変わらなかったのではないかと私は受け止めています。また、産業別に季節調整していない系列の前年同月比で見ると、自動車小売業が+1.5%の上昇を示したのは、新型車投入効果なのか、それとも、部品サプライに伴う生産停止を脱した反動増的な要因なのか、判断は分かれるところですが、我が国の主要産業のひとつである自動車の販売増加は悪いことではないと考えるべきです。他方、燃料小売業が▲1.6%の減少を記録しています。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは4月の消費者物価は▲0.4%の下落と見込まれていますから、物価を考慮した実質ベースの小売販売額でもプラスにはなりません。ただ、季節調整指数では前月から横ばいとなっています。
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