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2016年5月19日 (木)

機械受注はマイナス金利により増加に転じるか?

本日、内閣府から3月の機械受注が公表されています。電力と船舶を除く民需で定義されたコア機械受注の季節調整済みの系列は前月比+5.5%増の8951億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下のとおりです。

機械受注、3月は5.5%増 15年度は8年ぶり高水準
内閣府が19日発表した3月の機械受注によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比5.5%増の8951億円だった。増加は2カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(0.7%増)を上回った。内閣府は機械受注の判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
製造業からの受注額は19.7%増の3842億円と、2カ月ぶりに増加した。業種別では非鉄金属で原子力原動機、化学機械、造船業で内燃機関などの受注が増えた。一方で非製造業から受注した金額は6.9%減の4944億円だった。
併せて発表した1-3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は前期比6.7%増の2兆6785億円だった。プラスは2四半期連続。内閣府が2月に公表した1-3月期の受注額見通し(6.4%増)も上回った。
4-6月期は3.5%減の見通しとした。製造業は7.5%減、非製造業は1.5%減を予想している。製造業で原動機と航空機、非製造業で電子・通信機器・原動機などの受注減を見込んでいる。
2015年度の受注額(船舶・電力を除く民需)は前年度比4.1%増の10兆1838億円だった。増加は3年連続で、2007年度以来8年ぶりの高水準だった。製造業が6.2%増で非製造業が2.5%増だった。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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最近のコア機械受注の動きを見ると、1月にイレギュラーな大型案件が入った反動で2月が減少に転じた後、3月は前月比でプラスを記録しました。機械受注は毎月の変動の激しい指標ですから四半期で見ると、1-3月期はコア機械受注は前期比で+6.7%増となり、3か月前の見通し時点の+6.4%を上回りました。また、先行き四半期の4-6月期の見通しはコア機械受注の前期比で▲3.5%減が見込まれていますが、これは1月にイレギュラーな大型受注案件が入ったこともあり、4-6月期の受注水準見込みとしては2兆5836億円ですから、昨年10-12月期実績の2兆5098億円を軽く+3%近く上回っています。ですから、統計作成官庁である内閣府の基調判断「持ち直しの動き」の正にその通りであり、ようやく機械受注から設備投資の先行きが明るくなり始めた可能性が示唆されていると私は受け止めています。。
四半期ではなく、直近の3月の単月統計に関していえば、非鉄金属が前月比で+928.5%を示しており、1月の鉄鋼業の前月比+928.5%増ほどではないものの、何らかのイレギュラーな大型案件があった可能性も否定できません。また、不動産業が3月には前月比で+51.8%を記録しており、あくまでエコノミストの間の噂話程度の確度ながら、足下でマイナス金利の導入によって不動産業界が活気づき始めている可能性を指摘する意見も聞かれます。私は疑わしいと思いますが、少なくとも、これだけ企業の手元流動性が豊富になり、同時に、人手不足がある一方で設備の過剰感が払しょくされつつありますので、今後の設備投資動向は企業マインドに依存する部分が大きく、マイナス金利が期待やマインドの面から企業の設備投資を後押しする可能性も十分あり得ると受け止めています。その呼び水として財政政策による需要プッシュが有効かどうかは議論あるものの、ひとつの可能性としては私もエコノミストとして認めざるを得ないような気がします。

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上のグラフはコア機械受注達成率をプロットしています。ジグザグした動きながら、エコノミストの経験則である景気転換点の90%は上回って推移しています。

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