またまた大きな下落を示した企業物価をどう見るか?
本日、日銀から4月の企業物価(PPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は▲4.2%の下落と引き続き大きなマイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の企業物価指数、4.2%下落 マイナス幅は6年5カ月ぶりの大きさ
日銀が16日に発表した4月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は前年同月比4.2%下落の99.3だった。前年同月を下回るのは13カ月連続で、指数はリーマン・ショック後の09年11月以来6年5カ月以来の低水準だった。下落率も09年11月以来の大きさだった。電力やガスの値下がりが続いていることに加え、円高も物価押し下げ要因になった。市場予想の中央値である3.7%の下落を下回った。
4月の指数は前月比では0.3%下がった。電力・都市ガス関連の価格下落に加えて、薬価改定で医薬品価格が下がった。一方、鉄鉱石の国際価格の上昇を受けて鉄くずは価格が上昇した。
円ベースの輸出物価は前月比で1.0%下落、前年同月比で9.5%下落。円高進行で輸入物価は前月比で1.1%下落、前年比では19.4%下げている。
「エネルギー関連の価格契約は昨年末から年初の原油価格などを基に算出されている。最近回復しつつある原油の国際市況が反映されるのには時間がかかる」(調査統計局)という。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月比で上昇したのは242品目、下落は492品目となった。下落品目と上昇品目の差は250品目で3月の143品目からから拡大した。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の、下のパネルは需要段階別の、それぞれの上昇率をプロットしています。いずれも前年同月比上昇率です。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。
引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲3.7%の下落だったので、かなりの大きな下落と私は受け止めています。特に、国内物価の前年同月比で見て、1月の▲3.2%下落から、2月▲3.4%、3月▲3.8%と来て、4月は▲4.2%ですから、国際商品市況における石油価格の下落はほぼ反転したにもかかわらず、タイムラグがあるとはいえ、3か月連続で国内物価が下落幅を拡大し、しかも、6年振りの大きな下落を示しているわけですから、円高の影響は大きいと受け止めざるを得ません。介入の示唆をはじめとして、為替に関する財務省幹部の発言などがここ数日で報じられていますが、まあ、理由のあることなのかもしれません。
現状では、輸入物価の下落はほぼ一巡しており、ドル建ての国際価格の上昇と円高の進行による円建て国内価格の下落の綱引きで、後者に軍配が上がっている段階ですので、このまま石油などの国際価格が上昇したり、あるいは、円高がそれなりに収まれば、PPIの基となる円建て国内価格の下落にも歯止めがかかる可能性は十分あります。国際商品市況の変化と為替相場の動向は、おそらく、ラグ構造に違いがあるんでしょうが、価格の調整という面では為替のラグが長い気がします。ですから、CPIへの影響はそれほど大きくない可能性はあるんではないかと私は想像しています。
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