リクルートのワークス研による Works Index 2015 やいかに?
実は、昨日午後、お誘いを受けてリクルート社のワークス研で作成を始めた Works Index 2015 に関するシンポジウムを聞きに行ってきました。かなり大サンプルのパネルデータの作成を始めたようなんですが、毎年1月にその前年の状況を回答してもらう、ということのようで、今回が初めての調査でしたから、実は、まだパネルデータにはなっていないわけで、現時点では単なるクロスセクション・データだったりします。まあ、それでも、立派なリポートがpdfでアップされていますので、グラフを引用して簡単に紹介しておきたいと思います。
まず、上のグラフは、リポート p.13 から 図表16 就業形態別の Works Index の結果 (2015年) を引用しています。このインデックスを構成している5つのコンポーネント、すなわち、就業の安定(安定性)、生計の自立(経済性)、ワークライフバランス(継続性)、学習・訓練(発展性)、ディーセントワーク(健全性)、のそれぞれについて、就業形態別、すなわち、正規・非正規などの条件に従って、インデックスの値をプロットしています。正規・非正規という観点でいえば、正規職員は安定性と経済性と発展性=スキルアップはパート・アルバイトを上回り、逆に、ワークライフバランスでは正規職員はパート・アルバイトを下回っています。その正規職員とパート・アルバイトの間に位置するのが派遣職員、ということになりそうです。まあ、正規職員はワークライフバランスを犠牲にして安定性と経済性と発展性=スキルアップを取っている、ということなんでしょうから、そうなのかもしれません。
次に、上のグラフは、リポート p.19 から 図表21 生計の自立と学習・訓練との関係 を引用しています。縦軸が経済性、横軸が発展性ですが、ほとんど無相関ながら、単純に計測するとわずかに正の相関があるかもしれません。右上に例示してある職種は、高給でかつスキルアップもできる一方で、左下は、処遇が悪くて現時点で生計の自立が困難な状況であるだけでなく、スキルアップする機会にも恵まれないため、将来にわたって生計の自立ができない状況が続く可能性が懸念されるわけです。ですから、リポートでは、「職種としての生産性を高めること、特定の業務を繰り返し行いスキルを高めてスペシャリストとして仕事ができるような環境を整備することが求められている」と、結論しています。
繰り返しになりますが、まだ1年目のデータですのでパネルデータにはなっていませんが、東京大学のサイトでかなり詳細なデータが公開される予定であり、将来的には研究目的などで利用可能なように聞き及んでいます。
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