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2016年6月 8日 (水)

上方改定された1-3月期GDP統計2次QEほか世銀経済見通しなど

本日、内閣府から今年1-3月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比年率成長率は1次QEの+0.4%からわずかに上方改定されて、+0.5%となりました。設備投資の伸びはマイナスのままですが、1次QEから上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期GDP改定値、年率1.9%増に上方修正 設備投資上振れ
内閣府が8日発表した2016年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算では1.9%増だった。5月18日公表の速報値は前期比0.4%増、年率1.7%増から上方修正され、QUICKが3日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.5%増、年率1.9%増)と同水準となった。法人企業統計など最新の統計を反映した結果、設備投資が上振れしたことが上方修正につながった。
実質GDPを需要項目別にみると、設備投資は前期比1.4%減から0.7%減に上方修正した。不動産や工作機械などで投資が鈍かったものの、化学や小売業などでは投資が伸びた。民間在庫の寄与度は速報値のマイナス0.0ポイントからマイナス0.1ポイントとなった。仕掛かり品の在庫が速報値で仮置きしている水準を下回った。
個人消費は0.5%増から0.6%増に上方修正となった。携帯電話や自動車などが速報値からの上振れに寄与した。公共投資は0.3%増から0.7%減となった。3月分の建設総合統計が低調だったことが響いた。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がプラス0.3ポイント(速報値はプラス0.2ポイント)となった。輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.2ポイントとなり、速報値から変わらなかった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.6%増(0.5%増)、年率では2.4%増(2.0%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期と比べてプラス0.9%となり、速報値と同じだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2015/1-32015/4-62015/7-92015/10-122016/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.3▲0.4+0.4▲0.4+0.4+0.5
民間消費+0.2▲0.8+0.5▲0.8+0.5+0.6
民間住宅+2.1+2.2+1.7▲1.0▲0.8▲0.7
民間設備+3.2▲1.2+0.8+1.3▲1.4▲0.7
民間在庫 *(+0.6)(+0.3)(▲0.1)(▲0.2)(▲0.0)(▲0.1)
公的需要▲0.2+0.8▲0.3▲0.1+0.6+0.5
内需寄与度 *(+1.2)(▲0.1)(+0.3)(▲0.5)(+0.2)(+0.3)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.4)(+0.1)(+0.1)(+0.2)(+0.2)
輸出+2.2▲4.8+2.6▲0.8+0.6+0.6
輸入+1.5▲2.5+1.7▲1.1▲0.5▲0.4
国内総所得 (GDI)+2.0▲0.1+0.6▲0.2+1.0+1.0
国民総所得 (GNI)+1.3+0.3+0.4+0.1+0.3+0.4
名目GDP+2.0▲0.2+0.8▲0.2+0.5+0.6
雇用者報酬+0.5+0.1+0.8+0.5+1.3+1.3
GDPデフレータ+3.2+1.4+1.8+1.5+0.9+0.9
内需デフレータ+1.4+0.0▲0.1▲0.2▲0.5▲0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2016年1-3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに転じ、特に、うるう年効果により赤い消費のプラス寄与が大きい一方で、わずかながら水色の設備投資がマイナス寄与しているのが見て取れます。

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ということで、一昨夜に2次QE予想で取り上げた通り、ほぼ市場の事前コンセンサスに整合的なわずかに上方修正の結果となりました。設備投資が上方修正される一方で、在庫と公共投資が下方修正されています。設備投資については、法人企業統計に従って前期比プラスを予想する向きもあったんですが、大方の予想と同じで、GDP統計ではマイナスながら1次QEよりもマイナス幅が縮小するという形で上方改定されています。消費についてはやや上方改定されつつ、かなりのプラスなんですが、1次QE公表の際にも書いた通り、今年の2月がうるう年でしたのでその効果を含んでおり、うるう年効果を除いた実勢の消費はかなり弱いと考えるべきです。また、在庫のマイナス寄与については、当期にはマイナスかもしれませんが、先行きの景気動向に対してはわずかなりとはいえ在庫調整が進展したわけですから、決して否定的に受け止めるべきではありません。とはいえ、消費と併せて見て、足元の景気の実勢がかなり力強い回復からほど遠いのも事実です。
先行きの景気を考えると、まず最大のコンポーネントである消費は、少なくともGDP統計を見る限り、雇用者報酬は着実に増加を示しており、マインドの縮小志向による部分が少なくないと私は考えています。ですから、消費増税の先送りについては、それなりの効果を持つと思いますが、いうまでもなく、本格的に消費増税の取りやめと同じ効果を持つと考えるべきではありません。いつかの時点で、消費増税を実施するのか、取り止めるのか、政権の決断が求められる可能性はあります。設備投資については、キャッシュフローの面からはサポートされるんでしょうが、これまたマインドの点から円高進行の為替相場の影響がどこまで出るかによります。私がメディアなどの論調を見ている限りでは、円安が進んでも海外展開した工場が国内回帰するわけではなく、しかし逆に、円高が進むと設備投資マインドが冷える、といったように、為替の動向にはっ非対称でかつデフレ期のマインドが強く残っているような気がします。それだけ、かつての日銀の金融政策の罪深さを実感し、また、痛みを伴う構造改革だけを重視する根拠ない論調にも疑問を感じるんですが、消費者マインドも企業マインドも、それなりにpersistentであり、期待に働きかける政策は根気よく気長に続ける必要があることを改めて実感します。

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さらに、GDP統計を離れて、本日、内閣府から5月の景気ウォッチャーが、また、財務省から4月の経常収支が、それぞれ公表されています。いつものグラフを上の通りお示しするだけで済ませておきます。まず、景気ウォッチャーのグラフは上のパネルの通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。色分けは凡例の通りで、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。そして、経常収支のグラフは下のパネルの通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。

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最後に、世界銀行から Global Economic Prospects が公表されています。今年2016年の世界経済の成長率は1月の見通し時点の+2.9%から+2.4%に▲0.5%ポイントの下方改定となっています。上の画像はリポート p.4 の総括表 TABLE 1.1 Real GDP を画像化しています。クリックするとこのページだけを抜き出した pdf ファイルが別タブで開くようになっています。ご参考まで。

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