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2016年6月28日 (火)

6月調査の日銀短観の予測やいかに?

今週金曜日7月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2016年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2016年度の設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので、適当に取っています。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+6
+22
<▲0.9%>
n.a.
日本総研+4
+19
<+5.9%>
2016年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比+1.0%と、前回調査対比+4.7%の上方修正を予想。円高などを背景に、企業収益の下振れ懸念は高まっているものの、既存設備の老朽化などを背景に、維持・更新投資の需要は堅調。また、人手不足下で、省力化・合理化などに向けた投資も期待可能。低金利や潤沢なキャッシュフローのもと、設備投資の腰折れは回避される見通しで、例年に比べ勢いに欠けるものの、上方修正は維持の公算。
大和総研+5
+20
<+3.4%>
2016年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年比▲1.1%と、前回(同▲4.8%)から上方修正されると予想する。6月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、昨年後半以降の内外需の停滞や、円高進行の影響により、例年の修正パターンに比べて上方修正幅が幾分小さくなると想定した。なお、通常、日銀短観の設備投資計画は、為替レートの短期的な変動に大きく左右されることはなく、緩やかな修正に留まる傾向にある。このため、足下で急速に進んだ円高によるマイナスの影響は今回調査では限定的なものに留まり、9月日銀短観以降、徐々に顕在化すると考えている。
みずほ総研+4
+20
<+7.0%>
2016年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+1.6%と、3月調査(同▲4.8%)から上方修正されると予測する。4-6月期の法人企業景気予測調査によれば、2016年度の設備投資計画(ソフロウェア除き、土地含む、全規模・全産業)は、前年比+0.5%と1-3月期調査(同▲10.9%)より上方修正されており、設備投資の緩やかな増加計画は維持されるとみている。製造業では輸送機械などを中心に増加、非製造業では小売業が堅調な投資を続けるとみている。しかしながら、昨年同時期の計画と比べると、業種毎の好調・不調の差は生じるだろう。昨年高い伸びを示した製造業は、昨年後半以降の企業業績の悪化や為替の円高推移などにより、伸び幅が縮小するだろう。一方、非製造業は、交通インフラをの整備やインバウンド需要を見込んだ運輸業や小売業、宿泊業などを中心に、堅調な伸びを維持するとみられる。全体としてみると、昨年度対比では製造業の減速から小幅な伸びにとどまるとみている。
ニッセイ基礎研+2
+19
<+4.9%>
16年度の設備投資計画(全規模全産業)は、15年度比で0.4%増と前回調査時点の4.8%減から上方修正されると予想。例年、3月調査から6月調査にかけては、計画が固まってくることに伴って、大きく上方修正される傾向が強いが、今回は例年に比べて上方修正が抑制的となり、水準としても6月調査としては5年ぶりの低水準に留まりそうだ。円高の進行などから製造業を中心に足下の収益が圧迫されており、先行きの不透明感が強いことが企業の様子見スタンスに繋がっていると考えられるためだ。なお、非製造業は人手不足感が極めて強く、省力化投資需要が一定程度期待されるため、製造業より上方修正幅が大きくなりそうだ。
第一生命経済研+3
+17
<+5.1%>
これまでの短観の設備投資計画は、比較的堅調であった。筆者の6月調査予測も、堅調シナリオに基づいて数字を作っている。しかし、もしかすると、収益面での慎重さを反映して、この段階で弱い動きが表れることを警戒しておくことは必要だろう。
最近、よく耳にするのは先行きの不透明感が強いという意見である。英国のEU離脱の投票、米利上げ、米大統領選挙と、次々に大型イベントが先行きの見通しに立ち塞がる、これらのイベントが通り過ぎれば晴天の空が見渡せるかといえば、そうではなかろう。
企業の設備投資計画には、そうした弱気のセンチメントが何かしらのかたちで表面化するのではないかと警戒している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+5
+18
<+7.7%>
16年度の設備投資計画は、大企業・中小企業ともに上方修正が見込まれる。ただし、大企業で比較的高めの上方修正幅が予想されるのに対し、中小企業の上方修正幅は、6月調査としては小幅にとどまる見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+3
+20
<+7.2%>
2016年度の設備投資計画は、大企業・製造業は前年比+11.3%、非製造業は同+5.1%と、例年どおり上方修正されたと見込まれる。将来に向けて国内需要の急速な拡大は見込めず、新興国など海外へ投資先を移す流れに大きな変化はないが、引き続き設備の維持・更新への投資が行われるほか、生産(販売)能力の拡大や効率化を進めるための前向きな投資も行われると予想される。中小企業については、例年通り前年比マイナスの計画から開始し、徐々に上方修正されていくパターンが続くと予想される。
三菱総研+4
+21
<n.a.>
製造業の業況判断DI(大企業)は、+4%ポイント(前回調査から▲2%p低下)と予測する。素材業種では、新興国での需要減速などが業況悪化要因となる。加工業種は、企業の想定為替レートを上回る円高進行による採算の悪化、新興国向け輸出の低迷、消費の不振、自動車の燃費不正問題の波及などにより業況悪化を予想する。
富士通総研+4
+19
<+5.4%>
2016年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比0.4%と、3月調査から上方修正されると見込まれる。維持更新や省力化投資に対する企業の意欲は、依然、根強いが、円高進展による企業業績の悪化や世界経済の先行き不透明感から、上方修正の度合いは過去2年のペースを下回ると見込まれる。中小企業も上方修正されるが、修正度合いは緩やかにとどまると予想される。昨年度は設備投資の意欲(計画)が強い状態が続く一方、なかなか実績に結びつかなかったが、今年度は、現時点においては計画自体がやや慎重化する可能性が高い。

ということで、業況判断DIについては、3月調査からある程度は低下するものの、少なくとも大企業のレベルではまだプラスを維持するものとの予想が多数といえます。そして、今年度2016年度の設備投資計画については、予想にややばらつきが見られるものの、胆管の統計としてのクセを含めて、少なくとも3月調査から上方修正されると多くのシンクタンクなどでは考えているようです。ただ、業況判断DIにせよ、設備投資計画にせよ、6月23日投票のBREXIT前の企業マインドですから、その後、大なり小なり下振れしていることは確かです。ひょっとしたら、すでに「過去の数字」扱いされる危険もあるかもしれません。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用した全規模前産業の設備投資計画の推移です。

photo

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