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2016年6月25日 (土)

今週の読書はかなりペースダウン!

今週の読書は小説を基本にかなりペースダウンしました。これくらいでちょうどいいような気がします。

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まず、門井慶喜『家康、江戸を建てる』(祥伝社) です。物語は天正18年1590年夏、小田原の北条攻めの陣中で徳川家康が豊臣秀吉から北条家の旧領地関東8か国への移封を打診される場面から始まります。全体として歴史小説のようですが、読み進むうちに壮大なプロジェクトをテーマにした歴史ノンフィクションのような雰囲気もあります。前半の3章では、利根川の向きを変更して江戸から海にそそぐのではなく、現在の鹿島・銚子付近に流れを変えて、湿地だった江戸の地盤を改善する土木事業、小判の鋳造という通貨発行にまつわる上方と江戸との確執を見事に描き出した通貨発行の事業、現在の井の頭池から江戸の上水道を引く事業、などのいわゆる技官もしくは文官による民政事業を取り上げ、後半では武官的な観点から、江戸城大手門の石垣積み、秀吉に対抗するための白一色の江戸城天守の建築に焦点を当てています。繰り返しになりますが、いわゆる時代小説というよりもノンフィクションの歴史物語のようで、あるいは、ビジネスマンのマネジメントの観点から読みこなす人もいそうです。なお、4月23日付けの読書感想文で取り上げた伊東潤『天下人の茶』とともに、直木賞候補作に上げられています。

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次に、万城目学『バベル九朔』(角川書店) です。久し振りの長編です。私はこの著者の作品は、デビュー作の『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』などなど、ほとんど読んでいると思います。『鴨川ホルモー』と『プリンセス・トヨトミ』については映画も見ました。ただし、私の好きな女優さんの1人である深田恭子が出演しているにもかかわらず、『偉大なる、しゅららぼん』の映画はまだ見ていません。ということで、私は万城目ファンだといえると自任しているわけですが、この作品はかなりいいです。典型的な万城目ワールドであり、時代小説ではなく現代を舞台にしており、本人が自覚していない能力を備えた主人公が超自然的かつ破滅的な現象に巻き込まれて行きます。その意味で、超自然現象に巻き込まれるという意味では『鹿男あをによし』に似ており、明示されないものの、そのパワーの源泉が八郎潟に由来しているという点では『偉大なる、しゅららぼん』にも共通点があります。パラレル・ワールドが崩壊して行くという点については『ネバー・エンディング・ストーリ』にも敬意が払われているような気がします。ラストがとても印象的です。

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次に、七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社文庫) です。これは2014年8月に出版された本なんですが、このたび昨年2015年11月に第3回京都本大賞に選ばれ、そのせいかどうか、来月7月にはマンガ化されるともに、福士蒼汰と小松菜奈の主演で映画化されて年末に封切られるそうです。一言でいえば、SF恋愛小説なんですが、SFよりは恋愛の方に重点がありそうな気がします。舞台はもちろん京都で、しかも、京都南部の伏見区の丹波橋周辺だったりします。私は近鉄沿線で育ちましたが、近鉄と京阪が交差する乗換駅です。私は近鉄から京阪の乗り換えて京都大学に通学していました。この小説よりも30年以上も前の時代ですから、京阪は出町柳まで延伸しておらず、三条止まりでしたので、そこから歩いて通学していましたが、3年生からは自動車で通学していました。この作品のSF部分でやや難ありなのは、パラレル・ワールドのアチラの世界が常にコチラの世界を優越している点です。アチラからコチラには来られても、コチラからアチラには行けないようですし、かつてのウルトラ・セブンの宇宙人のように地球人とはかけ離れた特殊能力を持っている世界を示唆しているような気がします。まあ、それは「ハリー・ポッター」でも同じことかもしれませんが、少し気にかかります。でも、私のような中年のオッサンではなく若い人を対象とした本なんではないかという気がします。東京を舞台にこのストーリーが展開されることはあり得ない、という意味で優れた京都本だと受け止めています。

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最後に、マーシャ・ガッセン『完全なる証明』(文春文庫) です。少し判りにくいタイトルかもしれませんが、ポアンカレ予想を証明したロシアの数学者ペレルマンの人となりを追ったルポルタージュです。ポアンカレ予想そのものは別の書物のほうが専門的によく説明されているそうですが、私にはどうせ理解できないと思ったので、数学者を中心に据えた本にチャレンジしてみました。この本の出版は単行本が2009年で私のようだ文庫本は2012年刊です。ということで、米国出張で読んだ本のうちの1冊です。ほかに、宮尾登美子『宮尾本 平家物語』全4巻とか、桜庭一樹編『江戸川乱歩傑作選 獣』と湊かなえ編『江戸川乱歩傑作選 鏡』などでした。米国出張のしょっぱなに例のオーランドの事件がありましたので、ほとんど夜歩きも手控えて読書に勤しんで来ました。

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