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2016年6月30日 (木)

大きな減産を示した鉱工業生産の今後のゆくえやいかに?

本日、経済産業省から5月の<鉱工業生産指数が公表されています。ヘッドラインとなる生産指数の季節調整済みの前月比は▲2.3%の大きな減産を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産、2.3%低下 化粧品や業務用機械で減産
経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.3%低下の95.0だった。低下は3カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月から横ばいだった。4月に好調だった化粧品やはん用・生産用・業務用機械などで生産が減少した。
15業種のうち11業種が前月から低下した。経産省は生産の基調判断を「一進一退で推移している」に据え置いた。化粧品などの化学工業は7.5%低下した。はん用・生産用・業務用機械は納期の後ずれなどにより、2.2%低下。電子部品・デバイスやエアコンなどの電気機械も前月を下回った。電子部品は輸出が低調だったことが響いた。一方、自動車などの輸送機械は0.7%上昇した。
出荷指数は2.3%低下の93.8となり、在庫指数は0.3%上昇の113.7だった。在庫率指数は1.3%上昇の117.2となった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では6月が1.7%上昇、7月は1.3%上昇を見込む。予測調査が実績より上振れする傾向にあることを考慮すると、経産省は6月の鉱工業生産は0.5%程度の上昇になると試算している。予測調査では6-7月は輸送機械などの上昇を見込む。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは横ばいでしたし、先月の統計発表時の製造工業生産予測調査では何と5月は+2.2%の増産との見込みでしたので、ずいぶんと実績統計値は下振れした印象があります。さらに、出荷も生産と歩調をそろえて▲2.3%減となっており、反対に在庫が積み上がっていたりします。業種別に見て、化学工業、金属製品工業、非鉄金属工業などの素材業種に加え、はん用・生産用・業務用機械工業や電気機械工業などの加工業種も減産であり、熊本地震からのいわゆる挽回生産と見られる輸送機械工業や情報通信機械工業の増産は軽く打ち消された形となっています。財別に見ても、上のグラフの下のパネルに見られる通り、全般的な消費の停滞から耐久消費財の出荷が回復しそうもありません。先行きについても、製造工業生産予測調査では6月+1.7%、7月+1.3%のそれぞれ緩やかな増産を見込むものの、さすがに、実勢より高めに出るバイアスについては、統計作成官庁である経済産業省も認めたようで、引用した記事の書き振りが印象的です。

この先、消費や生産は底入れから反転の時期を探ることとなりますが、少なくとも、私の直観ながら、生産は年内底入れしないよいうな気がします。輸出が多くを望めませんし、むしろ、消費の方が生産よりも先に底入れしそうな印象です。それとも、財政によるテコ入れはあるんでしょうか。繰り返しになりますが、何の根拠もない私の直観です。

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