商業販売統計に見る消費は冴えないながらもそろそろ下げ止まるか?
本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売は季節調整していない前年同月比で▲1.9%減の11兆5430億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
5月の小売業販売額、1.9%減 デジカメやパソコンが低調
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.9%減の11兆5430億円だった。3カ月連続で前年実績を下回った。デジタルカメラやパソコンなどの販売が低調だった。季節調整すると前月比横ばいだった。
経産省は小売業販売の基調判断を「弱含み傾向」に据え置いた。原油安による燃料小売業の減少や、かき入れ時である土曜日が前年より1日少なかったことも響いた。自動車や医薬品・化粧品の販売は前年から増加した。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で前年比1.9%減の1兆5979億円だった。百貨店の既存店販売は4.8%減と低迷した。主力の衣類や高額商品の販売がふるわなかった。スーパーの既存店販売は0.8%落ち込んだ。
コンビニエンスストアの販売額は2.6%増の9593億円だった。
いつもながら、コンパクトかつ包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。

消費の回復が引き続き思わしくありません。統計のヘッドラインとなる季節調整していない原系列の小売販売額で前年同月比▲1.9%減ですから、明後日に公表される5月の消費者物価上昇率が日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの▲0.4%の下落としても、実質で▲1%超のマイナスということになります。従って、統計作成官庁である経済産業省による基調判断は「弱含み傾向」で据え置かれています。ですから、消費の冴えない先行きを私は予想しがちなんですが、毎月勤労統計に見るように、そろそろ実質賃金が下げ止まり、商業販売統計に見る消費も季節調整済みの系列を見る限り、5月の前月比がゼロだったこともあって、消費も下げ止まりが見えて来たように実感しています。少なくとも、熊本地震の影響は限定的でしたし、あとは、英国のEU離脱、すなわちBREXITの影響なんですが、少なくとも消費に関しては株価からの資産効果、というか、逆資産効果についてはリスクあるものの、それほど明確ではありません。むしろ、夏季ボーナスを含む賃金・所得動向とマインドに注目したいと思います。
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