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2016年7月12日 (火)

下落が続く企業物価もそろそろ下げ止まるか?

本日、日銀から6月の企業物価(PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲4.2%と引き続き大きなマイナスを記録しています。円ベースでの輸出物価は▲14.4%、輸入物価は▲23.2%の下落でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業物価指数、前年比4.2%下落、円ベースの輸出物価は大幅下落
日銀が12日に発表した6月の企業物価指数(2010=100)は前年同月比4.2%下落の99.2となり、15カ月連続で前年同月を下回った。市場予想の中央値である4.2%と同じだった。原油や液化天然ガス(LNG)価格の下落を背景に電力やガスの値下がりなどが指数を押し下げた。
前月比では0.1%下がった。前月を下回るのは2カ月ぶり。「電力・都市ガス・水道」で電気やガスの料金が下落したほか、「スクラップ類」も下がった。5月半ば以降、中国の鉄鋼メーカーの増産で日本からの輸出価格が下落し、国内価格も連動して下がった。「化学製品」や「非鉄金属」も下落した。
円ベースの輸出物価は前月比で2.2%下落した。前年同月比では14.4%下がり、09年8月(14.5%下落)以来、6年10カ月ぶりの大幅な下落となった。「輸出は強含んでいるが、円高の影響が大きかった」(調査統計局)という。特に「はん用・生産用・業務機器」で油圧・空気バルブが中国の建機メーカー向けの定期的な価格改定により、円建てで値下げとなったことが響いたほか、「電気・電子機器」も下がった。
輸入物価は前月比で0.5%下落し、前年同月比では23.2%下がった。「化学製品」では、欧州からのがん治療薬の材料が原料のプラチナ価格の下落やユーロ安で下がった。汎用プラスチックも原油由来の原料価格が下がったことが影響した。「電気・電子機器」も下落した。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月比で上昇したのは237品目、下落は498品目となった。下落品目と上昇品目の差は261品目で、6月の249品目から拡大した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の、下のパネルは需要段階別の、それぞれの上昇率をプロットしています。いずれも前年同月比上昇率です。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。

photo

まず、数字の上だけのお話かもしれませんが、ヘッドラインの国内物価の下落率は4月▲4.2%、5月▲4.3%に続いて、6月は▲4.2%ですから、下落幅の拡大に歯止めがかかっています。もちろん、これくらいは統計の誤差の範囲内かもしれませんし、このまま下落幅が縮小し物価上昇に向かうと考えているわけではありません。ただ、景気拡大の折には、いわゆる主役の交代というのがあって、牽引役が、例えば、輸出から消費に、そして、消費から設備投資に移り変わるケースがあるんですが、企業物価を見る限り、物価下落というかデフレの主役の交代があったようで、少し前までは国際商品市況における石油価格の下落だったんですが、現在も石油価格やLNG価格の下落が電気料金などに波及している面も残っているものの、物価下落の主役は石油価格の下落から円高に移行したように私は受け止めています。6月下旬は、いわゆるBREXITで為替がかなり円高に触れてしまい、今度の欧州をはじめとする新興国も含めて海外経済の動向も不透明ながら、米国経済は、6月雇用統計を見る限り、それなりの回復を示し始めているようですし、引用した記事に見える通り、ボリューム的には海外経済の回復に伴って輸出が強含んでいる一方で、輸出物価は円高のために大きな下落を示したようです。
消費者物価(CPI)への波及については、生鮮食品を除くコアCPIで見て、かなり直観的かつ大雑把ながら、現状の石油価格がバレル40-50ドル、為替が1ドル105円くらいであれば、足元のマイナスを脱して年内か年明けくらいには前年同月比でプラスに転じる可能性が高いとの感触を私は持っていますが、すでに総務省統計局からスケジュールが公表されている通り、来月末にはCPIの基準改定があります。前年同月比で▲0.5%ポイントくらいの下振れが生じる可能性も排除できず、そうなれば、コアCPIのマイナス脱却はさらに先になる可能性があります。2005年基準への改定の際には、このテクニカルな要因で小規模ながら「CPI基準改定ショック」が市場に生じましたので、今夏も少し用心しておく必要があるかも知れません。

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