大幅な増加示した米国雇用統計の雇用者増から米国金利の再引上げを考える!
日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。金融政策動向と合わせて注目されていたところ、非農業雇用者数の増加幅は+255千人と前月から大きく伸び、失業率は前月と同じ4.9%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。
Strong Job Gains, for Second Month, Reframe Economic Outlook
After months of conflicting signals and economic uncertainty, it became clear on Friday that the American jobs machine has moved back into high gear.
A report from the Labor Department that said employers added 255,000 jobs in July had been eagerly anticipated on Wall Street, in Washington and on the campaign trail, and the much-better-than-expected showing immediately rippled through all three arenas.
Stocks surged, experts expressed more confidence that the Federal Reserve was likely to raise interest rates at least once this year, and it was evident that long-stagnant wages for ordinary workers were advancing at a more robust pace.
この後、さらにエコノミストなどへのインタビューや米国大統領選へのインプリケーションの分析が続きます。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。
米国雇用統計でもっとも注目される非農業部門雇用者数の伸びは、5月に大きく減速して+24千人増を記録した後、6月には急回復して+292千人増、そして、この7月も+255千人増の伸びを示し、+200千人に達しないとの市場の事前コンセンサスを上回りました。5月も含めた3か月の単純平均の伸びが+190千人増ですから、ひとつの目安とされる+200千人増には及びませんが、かなり近いラインであることも確かです。業種別ではヘルスケアなどのサービス業が大きく伸びたほか、長期的に減少傾向にある製造業でも先月に続いて2か月連続で雇用者が増えています。
金融市場的には、もっとも不確実性が高いのが英国のEU離脱、すなわち、BREXITなんですが、8月のバカンスの季節は欧州では動きはありません。米国連邦公開市場委員会(FOMC)はほぼ6週間に1回開催され、前回7月26-27日の次の開催は9月20-12日が予定されていますから、もう1回、すなわち、8月の雇用統計についても考慮することとなります。もちろん、雇用統計以外にも各種経済指標が参照されることは明らかですが、取りあえずは、8月25-26日に予定されているジャクソン・ホールでのシンポジウムを私は注目しています。カンザス・シティ連銀がホストするジャクソン・ホール会合のサイトは以下の通りです。
また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、まずまず、コンスタントに+2%のラインを上回って安定して推移していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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