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2016年8月31日 (水)

前月から横ばいを示した鉱工業生産指数をどう見るか?

本日、経済産業省から7月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で見て、生産は前月から変わらずの横ばいでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、7月は横ばい 市場予想下回る 自動車は好調
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月から横ばいの96.9だった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(0.8%上昇)を下回った。自動車やスマートフォン向け電子部品などで生産が伸びた一方、洗顔クリームや数値制御ロボットなどが振るわなかった。
経産省は生産の基調判断は「一進一退だが、一部に持ち直し」に据え置いた。業種別では15業種のうち6業種が上昇し、9業種が低下した。輸送機械が1.2%上昇と3カ月連続で伸びたほか、電子部品・デバイスも1.5%上昇した。制御ロボットなどのはん用・生産用・業務用機械は0.7%低下した。
出荷指数は0.9%上昇の96.0と伸び、在庫指数は2.4%低下の111.2となった。在庫率指数は0.9%上昇の117.1だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では8月の予測指数は4.1%上昇、9月は0.7%低下となった。ただ、8月分を押し上げているはん用・生産用・業務用機械や情報通信機械は予測から実績が大きく下振れする傾向にあり、経産省では8月の生産は0.1%程度の上昇にとどまると試算している。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、統計をこれだけ引用すると長くなります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

photo

日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは生産の前月比で+0.8%の増産でしたから、横ばいとの結果は少し下振れした気がしないでもありません。統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「生産は一進一退だが、一部に持ち直し」に据え置いています。また、製造工業生産予測調査では8月+4.1%の増産の後、9月は▲0.7%の減産を見込んでいます。もっとも、引用した記事の最後のパラにあるように、実績はこの製造工業生産予測調査を下回るケースが少なくないので、先行き評価にはそれなりの注意が必要です。ということで、7月の生産は出荷が増加したにもかかわらず横ばいにとどまり、少なくとも7月は在庫調整が進んだ、と私は認識しています。増産を記録した9業種は業種数としては減産の9業種を下回りますが、輸送機械工業+1.2%増、電子部品・デバイス工業+1.5%増、電気機械工業+1.6%増など、まさに我が国の主力業種が並んでいたりします。これらの産業が生産を下支えしており、財別では、耐久消費財と非耐久消費財が増加した一方で、生産財や資本財は減少を示しています。家計部門が好調というわけでもないんでしょうが、円高を受けて企業収益へのダメージがある企業部門がそれ以上に低空飛行ということなんだろうと私は受け止めています。

最後に、生産や輸出とも関連して、米国金利の引上げの影響については、必ずしも円安を通じた好影響だけではないと私は考えています。すなわち、米国金利引上げから円安に振れて、製造業の輸出が伸びて生産増、というルートはもちろん有力なんですが、他方、米国の利上げは新興国からの資金流出を促進する可能性もあり、金融市場を通じて不安定要素となる可能性も否定できません。内外経済について幅広く注視する必要があります。

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