三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「2016/17年インバウンド見通し」やいかに?
やや旧聞に属する話題ですが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから8月5日付けで「2016/17年インバウンド見通し」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。リポートでは、2015年のインバウンド消費を分析するとともに、2016/17年の見通しを立てています。昨日の4-6月期1次QEを取り上げたブログで、インバウンド消費がそろそろ一段落しつつある統計的な根拠が出始めたようにも受け止めていますので、シンクタンクの予想はそれなりに興味あるところですから、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上のグラフはリポート p.2/10 から 図表1. 増加が続く訪日外国人 を引用しています。2015年の訪日外国人数は1974万人(前年比+47.1%増)と4年連続で増加し、過去最高を記録しており、グラフは引用しませんが、訪日外国人のうちアジアからの旅行者が全体の約8割を占め、中国(25.3%)、韓国20.3%、台湾(18.6%)がトップスリーを占めています。
次に、上のグラフはリポート p.3/10 から 図表4. 主要な輸出品との比較(2015年) を引用しています。さすがに、自動車にはかなわないものの、2015年には3兆4771億円に達して、インバウンド消費は金額として半導体電子部品や鉄鋼、自動車部品の輸出金額に肉薄するところまで増加していることが読み取れます。
次に、上のグラフはリポート p.4/10 図表9. 訪日外国人の推移 を引用していますが、さすがに、今年2016年上半期は大きく減速しました。要因としてリポートでは、2015年1月に実施された中国人へのビザ緩和による押し上げ効果が一巡したほか、中国経済の減速、円高の進行、さらに、熊本地震などを上げています。
最後に、上のグラフはリポート p.7/10 図表15. 訪日外国人の見通し(全国) を引用しています。リポートでは、訪日外国人数は2015年の1974万人から、2016年には2428万人(前年比+23.0%)、2017年には2594万人(+6.8%)へ増加するものの、増加テンポは急速に鈍化する見込んでいます。加えて、消費単価も円高や中国の行郵税見直しの影響を受けて減少傾向が続く見通しで、2015年の17 万6167円から、2016年には15万7196円(前年比▲10.8%)、2017年には14万9621円(▲4.8%)へ減少することも予想しています。ただ、2016-17年には訪日外国人の増加テンポが消費単価の減少テンポを上回るため、インバウンド消費額は2015年の3兆4771億円から、2016年3兆8149億円(前年比+9.7%)、2017年3兆8810億円(+1.7%)へ、それぞれ増加するものと予測しています。また、関東でのインバウンド消費が2017年には減少に転じる一方で、関西や中部では2016-17年にかけて順調に増加が見込まれることから、インバウンド消費の恩恵が関東から徐々に全国に広がる動きを見せる、と結論しています。
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