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2016年9月19日 (月)

3連休に読んだ小説3冊の読書感想文!

土曜日に阪神のBクラスが確定し、ついつい、この3連休はまたまた読書にいそしんでしまいました。最近の人気作家の小説を3冊読みました。とてもめずらしいことなんですが、3冊とも買い求めました。図書館から借りたわけではありません。

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まず、池井戸潤『陸王』(集英社) です。この作者の作品は私もかなり読んできたつもりで、ほぼいつものパターンの作品といえます。まあ、『下町ロケット』のシリーズと構図は変わりません。それなりに技術力ある中小企業とライバル企業、そして銀行とか技術の提供者やサプライヤーの人間関係とか、経済合理性とか、日本的な経営を持ち上げて、米国的なMBA流の経営を否定せんがごとき仕上がりになっています。最初は、創業100年超の足袋メーカーが地下足袋のようなランニング・シューズを開発するところから始まります。ランニング・アドバイザー、大手ライバル企業をクビになったシュー・フィッター、さらには、シューズのソールの素材を提供する起業家、もちろん、地元の取引銀行も相まって、独特の「池井戸節」のようなものを奏でています。それにしても、やっぱり、中小企業で新規事業が成功するのは、この作品くらいの極めてありえないような幸運が何重にも重ならないとなし得ないんだと、しみじみと感慨にふけってしまいました。諸条件が有利だったとはいえ、ソニーやホンダやパナソニックやといったカリスマ経営者が立ち上げて大企業に発展するのは、極めてまれな例外的ケースなんだろうと思います。でも、それをこういった形で小説に取りまとめると、それなりに感動が生まれます。でも、こういった中小企業の成功談はまれな例であって、小説は事実よりも奇なんではないか、という気がしないでもありません。終わり方がスッキリしているわけではないので、続編があるのかもしれません。

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次に、東野圭吾『危険なビーナス』(講談社) です。殺人事件があって名探偵が謎解きをするという形ではないものの、さすがに、一種のミステリですので、この作品は従来の東野作品と同じというわけにはいきません。そのあたりが、池井戸作品と東野作品の違いかもしれません。というわけで、獣医の兄が行方不明になった異父弟を彼の妻とともに探すミステリです。大金持ちの病院経営一族の遺産相続がからんで、失踪事件は複雑怪奇な展開を見せますが、最後は極めて論理的に解決されます。特に、延々と謎解きを展開する名探偵役はいないんですが、半分を少し過ぎたあたりから玉葱の皮をむくように、少しずつ新装が明らかになる方向に向かいます。でも、出版社のサイトかどこかで「どんでん返し」であるといった紹介を見た記憶があるんですが、私はジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムとアメリア・サックスのシリーズを読んでいますので、それほど大きなどんでん返し、すなわち、事件が解決したと考えられる段階に達してから、さらにカウンター・ファクトが発見されたり、被害者と加害者が実はまったく入れ違っていたり、というような強烈などんでん返しではないように受け止めいました。でも、最後の最後に、それまで謎とされていて、解釈のつかなかったいくつかの事実が解明され、とても読後感は爽やかです。『陸王』と違って、キャラ立ちがとても鮮やかです。

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最後に、宮部みゆき『希望荘』(小学館) です。杉村三郎シリーズの最新作です。前作で今多コンツェルンの妾腹の令嬢と離婚し、一時は郷里の山梨に戻っていた杉村三郎が、いろいろな経緯を経て東京に戻って探偵事務所を解説し、さまざまな事件を解決するというストーリーです。いままで、このシリーズはすべて長編だと記憶しているんですが、この作品は連作短編集です。4編の短編ないし中編から編まれています。必ずしも時系列で陣番に並べてあるのではなく、3番目に置かれている「砂男」が山梨のころの物語です。砂男とは本書でも言及されますが、メタリカの「エンター・サンドマン」のことで、まあ、怪物です。サイコパスとして描き出されています。メタリカの曲はヤンキースの21世紀の黄金時代にクローザーを務めたリベラ投手の登場曲でした。ということで、いかにも宮部作品らしく細部に渡ってビッチリと記述されており、今回の作品では、杉村三郎の置かれた境遇が前作から大きく変化し、山梨での事件も収録されていますから、特に長くなっています。読後感のいいミステリだけではないんですが、この宮部作品のシリーズは1作目の『名もなき毒』の姉妹の関係から、どうしても毒々しいイヤミスに近い作品が多くなっています。でも、宮部ワールドは全開です。私のような宮部ファンはぜひとも読んでおくべき作品です。

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