来週月曜日に公表予定の9月調査日銀短観予想やいかに?
来週月曜日10月3日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2016年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2016年度の設備投資計画に着目しています。ただし、三菱総研だけは設備投資計画の予想を出していませんので、適当に取っています。それ以外は一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 大企業製造業 大企業非製造業 <設備投資計画> | ヘッドライン |
6月調査 (最近) | +6 +19 <+6.2%> | n.a. |
日本総研 | +7 +19 <+6.4%> | 先行き、設備投資の腰折れは回避される見通し。円高や海外情勢不安が重石となるものの、維持・更新需要に加え、人手不足下で、省力化・合理化などに向けた投資も期待可能。低金利や比較的高水準を維持している企業収益を背景に、力強さには欠けるものの、例年の足取りに沿った上方修正となる見通し。 |
大和総研 | +6 +17 <+6.8%> | 2016年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年比+2.5%と、前回(同+0.4%)から上方修正されると予想する。9月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、昨年末以降の円高進行が輸出関連製造業にマイナスの影響を及ぼす一方、非製造業の企業業績の底堅さや人手不足感、さらには英国のEU離脱問題に伴う混乱が落ち着きを取り戻していることなどから、例年の修正パターン並みの上方修正になると想定した。 |
みずほ総研 | +8 +20 <+7.3%> | 2016年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+2.3%と、6月調査(同+0.4%)からの上方修正を予想する。ただし、9月計画としては、昨年よりも低い伸びとなる公算だ。 |
ニッセイ基礎研 | +7 +17 <+6.4%> | 16年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年度比1.9%増と前回調査時点の0.4%増から上方修正されると予想。例年、6月調査から9月調査にかけては、中小企業を中心に計画が固まってくることに伴って上方修正されるクセが強く、今回も上方修正されるだろう。ただし、円高によって輸出環境が厳しさを増し、企業収益も悪化しているため、一部で様子見や先送り姿勢が広がりつつあると考えられ、例年と比べて上方修正の度合いが抑制的になると見ている。 |
第一生命経済研 | +7 +16 <+6.8%> | 毎回、9月の大企業・設備投資計画は、ほとんど修正されない。大企業・製造業は、2016年度の前半比が12.5%と比較的高めの計画となっている。また、中小企業は、毎回の調査ごとにマイナス幅が縮小される流れを踏襲するとみられる。実体面では、設備投資は好調とは言えないのだが、短観をはじめとする企業アンケートでは割と高めの伸びになっている。おそらく、企業の年度の収益計画が固まっていくと、それに鞘寄せされる格好で、下方修正されることになるだろう。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +6 +18 <+6.9%> | 16年度の大企業の設備投資計画は、小幅の上方修正が見込まれる。借入金利の低下が続くなど投資環境は引き続き良好だが、企業経営者は依然として設備投資に慎重な姿勢を崩していない。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +5 +19 <+6.9%> | 2016年度の設備投資計画は、大企業製造業は前年比+13.5%、非製造業は同+3.4%と、例年どおり上方修正されたと見込まれる。将来に向けて国内需要の急速な拡大は見込めず、新興国など海外へ投資先を移す流れに大きな変化はないが、引き続き設備の維持・更新への投資が行われる計画であるほか、生産(販売)能力の拡大や効率化を進めるための前向きな投資も行われると予想される。 |
三菱総研 | +7 +19 <n.a.> | 先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は+8%ポイント、非製造業は+20%ポイントと、それぞれ小幅の改善を予測する。製造業では、資源価格の動向、円高など懸念材料はあるものの、海外経済の緩やかな持ち直しを背景に、業況の改善は続くとみる。非製造業では、雇用・所得環境の改善を背景とする消費の緩やかな持ち直しや、大型経済対策への期待が業況の下支えとなろう。 |
富士通総研 | +7 +18 <+6.7%> | 2016年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比2.1%と、6月調査から上方修正されると見込まれる。円高で企業業績は悪化し、世界経済の先行き不透明感も強いが、維持更新や省力化投資に対する企業の意欲は依然強く、上方修正されると見込まれる。企業の省力化投資への注力は、最近の労働需給の逼迫が、さらに拍車をかけている。先行きは、業績悪化の一巡と生産底入れが、設備投資のプラス要因になると考えられる。大企業は製造業、非製造業とも、昨年度の伸びは下回るものの、6月調査に続き、過去の平均を上回る伸びを保つと予想される。中小企業も上方修正されるが、製造業では先行き不透明感の強さが勝り、6月調査に続き、過去の平均の伸びを下回ると見込まれる。 |
ということで、上のテーブルから明らかな通り、景況感は製造業・非製造業とも6月調査から大きな変化はない印象です。同時に、設備投資計画についても、9月調査の日銀短観は中小企業を中心に計画が固まってくることに伴って上方修正されるクセが強く、今回も従来と同様に上方修正されるだろうとの予想が中心となっています。上のテーブルでは取り上げませんでしたが、かなり無風状態の日銀短観予想の中で、ほぼ完全雇用の状態にある現在の我が国経済の下で、雇用判断DIなどについても注目が集まるんではないかと私は予想していたりします。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから、設備投資計画のグラフを引用しています。ただ、タイトルに明記されている通り、全規模・全産業ですから、上のテーブルで取り上げている大企業全産業とはベースが異なるので注意が必要です。
諸般に抒情により、国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編 Analytical Chapters は明日に取り上げたいと思います。
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