年末ボーナスは増えるのか?
先週くらいまでに、、例年のシンクタンク4社から年末ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想ですので、ベースがかなり違っています。注意が必要です。
機関名 | 民間企業 (伸び率) | 公務員 (伸び率) | ヘッドライン |
日本総研 | 37.5万円 (+1.2%) | 72.1万円 (+9.4%) | 背景には、雇用・所得環境の改善傾向の持続。雇用面についてみると、2015年以降、非正規雇用者だけでなく、正規雇用者の増加が持続。賃金面でも、所定内給与が前年比プラスを維持しており、賞与算定の基となる月例給の押し上げに作用。 |
第一生命経済研 | 36.9万円 (▲0.3%) | n.a. | ボーナス低迷の最大の要因は企業業績の悪化だ。法人企業統計では、16年4-6月期の経常利益は前年比▲10.0%と3四半期連続で悪化、減益幅も拡大している。また、日銀短観の経常利益計画では、16年度上期の経常利益は前年比▲13.9%が見込まれている。ボーナスは業績に連動する傾向が非常に強いことから、こうした業績悪化が冬のボーナス抑制に繋がるだろう。業種別では製造業、企業規模別では中小企業で特に厳しい結果になると予想される。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 37.1万円 (+0.4%) | 69.9万円 (+6.1%) | 2016年冬の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは2年ぶりに増加すると予測する。労働需給がタイトな中、ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給(所定内給与)が前年比で増加を続けていることもあり、一人あたり平均支給額は37万1, 676円(前年比+0.4%)と増加しよう。もっとも、前年からの反動で大幅に増加した夏ほどの伸びは見込み難く、プラス幅は小さなものになるだろう。中でも、製造業では足もとで業績が悪化しており、中小企業を中心として下振れるリスクがある。 |
みずほ総研 | 37.0万円 (+0.0%) | 78.0万円 (+2.3%) | 2016年冬の一人当たりボーナス支給額(民間企業)は前年比+0.0%と横ばいになる見通し。所定内給与は緩やかに増加するものの、経常利益の弱含みによる支給月数の減少が下押し。 |
見れば明らかな通り、第一生命経済研だけは1人当たり支給額で減少を予想しているものの、大雑把にいって、今冬の年末ボーナスは1人当たりで横ばいないし微増、ただし、雇用者の増加が続く中で、ボーナス支給対象者数は2%程度増加することから、支給総額もそれに従って増加する、という見込みのようで、私もほぼ同意します。ですから、支給総額が2%前後増加する見込みながら、他方で、マクロの消費に対する影響は不透明感があると私は感じています。というのは、ひとつは天候要因が7-9月期から消費を下押ししており、7-9月期は台風などによる外出の手控えという形で影響が現れたのに対して、タイムラグを置いて、10-12月期以降では生鮮野菜や果物などの値上がりという形で影響が出る可能性があると覚悟しなければなりません。もうひとつは、ボーナスという恒常所得とはみなされない収入では大きな消費の伸びが期待できないためです。もちろん、ボーナスの増加が消費に何のインパクトもないとは考えにくく、最近時点で動きの出始めた耐久消費財の購入などには弾みがつく可能性もあり、それ以外でも、特に根拠ないながら、ボーナスでぜひとも消費に弾みがついて欲しいものだと考えているエコノミストは私だけではないような気がします。
最後に、下のグラフは三菱リサーチ&コンサルティングのリポートから引用しています。
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