足踏みの続く景気動向指数から景気の現状をどう考えるか?
本日、内閣府から9月の景気動向指数が公表されています。CI一致指数は前月から+0.2ポイント上昇の112.1を示した一方で、CI先行指数は▲0.4ポイント下降して100.5を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の景気一致指数、0.2ポイント上昇 耐久消費財出荷指数が改善
内閣府が8日発表した9月の景気動向指数(CI=2010年)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント上昇の112.1だった。上昇は2カ月ぶり。自動車で北米向け輸出や国内向け出荷が伸び、耐久消費財出荷指数が改善した。汎用・生産用・業務用機械や電子部品の出荷が好調で中小企業出荷指数(製造業)もプラスに働いた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。前月から比較可能な8指標のうち5つがプラスに寄与した。
ただ、数カ月先の景気を示す先行指数は0.4ポイント低下の100.5にとどまった。低下は2カ月ぶり。中小企業売り上げ見通しDIや鉱工業生産財在庫率指数、最終需要財在庫率指数が指数低下につながった。マネーストック(M2)などは改善したものの補えなかった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
ということで、CI一致指数はわずかに上昇し、CI先行指数が下降しています。なお、CI一致指数は前月の統計から、3か月後方移動平均も7か月後方移動平均もプラスに転じており、本日公表された9月統計で2か月連続となります。ただし、プラス幅が1標準偏差に達していないため、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「足踏み」で据え置かれています。わずかながらプラスを示したCI一致指数に対して、プラスに寄与した系列は、耐久消費財出荷指数がもっとも大きく+0.28、続いて、中小企業出荷指数(製造業)+0.08、鉱工業用生産財出荷指数+0.07などとなっています。逆に、商業販売額(卸売業)(前年同月比)のマイナス寄与が大きく▲0.19、次いで投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.07などとなっています。また、前月から下降したCI先行指数に対して、中小企業売上げ見通しDIがもっとも大きなマイナス寄与を示しており▲0.62、次いで、鉱工業用生産財在庫率指数▲0.33と最終需要財在庫率指数▲0.16などとなっていますから、在庫調整がまだ遅れている印象が残ります。全体として、内閣府の基調判断の通り、景気が踊り場にあることが景気指標の統計からも確認された、ということになろうかと受け止めています。もっとも、方向性としてはCI一致指数の後方移動平均が先月からプラスに転じていますので、「足踏み」の踊り場ながら、方向は上向きであると考えるべきです。
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