順調な夏季ボーナスの伸び示す毎月勤労統計!
本日、厚生労働省から9月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。現金給与指数のうちの所定内給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.2%の伸びを示す一方で、今年の夏季ボーナスは前年比+2.3%増の36万5008円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
夏のボーナス2.3%増 9月、実質賃金も0.9%増
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、今夏の1人あたりのボーナスは前年より2.3%多い36万5008円だった。夏のボーナス増は2年ぶり。9月の物価変動の影響を除いた実質賃金も前年同月比0.9%増えた。前年同月を上回るのは8カ月連続。人手不足を背景に当面は賃金の増加が続く見通しだ。
夏のボーナスが増えたのは企業業績の改善を反映している。事業所別にみると、不動産・物品賃貸業(19.8%増)や情報通信業(8.5%増)などが大きく伸びた。
9月の従業員1人当たりの現金給与総額は26万5325円と、前年同月に比べ0.2%増えた。増加は2カ月ぶり。基本給にあたる所定内給与は0.4%増の24万838円だった。
フルタイムで働く一般労働者の基本給は0.5%増と小幅だが着実に伸びている。通勤費などを示す特別に支払われた給与は前年同月に比べて2.9%減った。6-8月は一時的な夏季賞与の増加が名目賃金増加の要因だったが、9月は基本給が賃金を押し上げた。
実質賃金の増加は給与の伸びが物価を上回っていることを示す。9月の消費者物価指数(CPI)は、持ち家を仮に借家とみなした場合に支払われるであろう「帰属家賃」を除く総合の指数で0.6%下落していた。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額と所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、その次の3番目のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、1番下のパネルはその雇用指数そのものを、それぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。
まず、景気に敏感な所定外労働時間については、ほぼ鉱工業生産指数と整合的な動きを示しており、9月の生産は前月比で横ばいでしたが、所定外労働時間は+1.4%増となっています。ならして見れば、底を打った気はするものの、横ばい圏内での動きではなかろうかと私は考えています。続いて、注目の賃金は、引用した記事にもある通り、6-8月のボーナス支給期間を過ぎてもプラスを続けています。まだまだ、人手不足に比較して物足りない賃金の伸びですが、基本給にあたる所定内給与は小幅ながら伸び率が拡大しつつあり、消費に影響の大きい恒常所得部分では底堅い動きを示しています。従って、消費には大きな懸念ないものと受け止めています。最後に、パートタイム労働者に比べてフルタイムの一般労働者の伸びが追いついてきたようで、かねてよりこのブログでも主張している通り、ほぼほぼ完全雇用に近い人手不足の現在の労働市場は賃上げではなく正規雇用の増加という雇用の質の向上に適しているのかもしれません。でも、賃金が上がる方向も見えて来たように感じないでもありません。
続いて、産業別の夏季ボーナスの結果が上のグラフの通りです。上のパネルは実額、下は昨年からの伸び率です。なお、調査産業全体では、繰り返しになりますが、前年比+2.3%増の36万5008円でした。引用した記事にもある通り、不動産・物品賃貸業や情報通信業の伸びが高くなっていますが、実額では電気・ガス業のボーナスがまだまだ高額であることが明らかになっています。また、円高の影響で製造業の伸びが小さくなっている一方で、人手不足のために非製造業の伸びが高まっているように見受けられます。不動産・物品賃貸業をはじめとして、伸び率の高い産業は、大雑把に、人手不足の影響が大きいんではないかと推測しています。最後の最後に、昨年の夏季ボーナスは人手不足の中で前年比マイナスの統計を発表して、一気に信頼性を低下させた毎月勤労統計なんですが、今年の夏季ボーナスはまずまず実感と一致する結果が出たような気がします。
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