米国大統領選挙でトランプ次期大統領を支持したのはどういう人々なのか?
先週のサプライズのひとつは米国大統領選挙の結果だったのは記憶に新しいところですが、日本の市場なんかも一時は大きく下げたものの、結局、組閣をはじめとする政府のスタッフ選出は共和党が主導する形となる可能性が大きいという安心感もあって、TPPを別にすれば、経済的な負のインパクトは大きくない、との印象が出始めています。しかしながら、日本人として大いに興味あるのは、結局のところ、どういった米国有権者が次期米国大統領を支持したのだろうか、という点です。同じことを考えている人は多いらしく、私がよく参照しているピュー・リサーチ・センターから米国大統領選挙の2日後の11月10日付けで A Divided and Pessimistic Electorate と題する世論調査結果が明らかにされています。クリントン候補と比較して、次期米国大統領の支持者の平均的な素顔がよく理解できます。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、現在の米国の政治経済社会における問題点の指摘として、似通った評価なのは薬物中毒やインフラの状態であり、せいぜいが10%ポイントくらいに収まっています。逆に、大きく評価が分かれていて50%ポイント超の差があるのが不法移民と気候変動です。上のグラフから明らかな通り、トランプ次期米国大統領支持者は不法移民を重大な問題と捉える一方で、気候変動問題は軽視しているようです。ほかにも、トランプ次期米国大統領支持者は貧富の格差を重要とは考えていないような結果が示されています。こういった課題が大統領就任後に、カギカッコ付きの「民意」を反映してやっぱり軽視されるのか、それとも、それなりの取り組みが実行されるのか、私としてはやや気にかかるところです。
次に、よく似たグラフですが、上のグラフでは米国の直面する課題ではなく、性格とか価値観などに関する見方が示されています。さすがに、最初のグラフの政治経済社会の過大認識と違って、その差は大きくないんですが、グラフのタイトルにも表れている通り、伝統的かどうかにもっともおきな違いが見られます。トランプ次期米国大統領支持者に自分自身を伝統的と考える人が多く、逆に、ヒラリー候補の支持者には少なくなっています。また、絶対的なパーセンテージで見て、トランプ次期米国大統領支持者は自分のことを伝統的かつ典型的な米国人であると見なしているのに対して、クリントン候補支持者は偏見なく開放的で他人への思いやりの精神を重視している姿が浮かび上がります。
まだまだ、米国では選挙後の分断意識が強い気もしますが、知り合いのエコノミストはトランプ次期米国大統領について、「まあ、もう結果が出てしまったんだから、いい面を見ようじゃないか」と私にいい切ったんですがまったく同感です。
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