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2016年12月28日 (水)

増産に転じた鉱工業生産指数と回復の兆しがうかがえる商業販売統計!

本日、経済産業省から11月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比+1.5%の増産、小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の11兆7110億円と、ともに景気回復の兆しがうかがえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の遠下りです。

11月の鉱工業生産1.5%上昇 基調判断「持ち直しの動き」に上げ
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比1.5%上昇の99.9だった。横ばいをはさんで2カ月ぶりに上昇した。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.7%)をやや下回った。数値制御ロボットなど、はん用・生産用・業務用機械工業が伸びた。自動車部品などが好調だった輸送機械工業も増えた。生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直しの動き」へと4カ月ぶりに上方修正した。
直近、4カ月連続で生産がマイナスにならなかったことから判断を引き上げた。11月の表現は消費増税前の駆け込み需要が目立った2014年3月以来2年8カ月ぶり。「消費税率引き上げによる影響を払拭した」(経産省)という。
11月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、4業種が低下した。はん用・生産用・業務用機械工業が3.3%上昇。輸送機械工業が2.0%、電気機械工業が5.5%上昇した。窯業・土石製品工業が0.9%、プラスチック製品工業が0.3%低下した。
出荷指数は前月比0.9%上昇の99.2だった。在庫指数は1.5%低下の107.0、在庫率指数は5.5%低下の107.9だった。
12月の製造工業生産予測指数は前月比2.0%の上昇となった。電子部品・デバイス工業や鉄鋼業、金属製品工業の伸びがけん引する見込みだ。予測指数は企業の計画を基に作成するため、高めの数字が出やすい。経産省は実際の上昇率は0.0%程度になると予想している。
11月の小売業販売額、前年比1.7%増 基調判断を引き上げ
経済産業省が28日発表した11月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比1.7%増の11兆7110億円だった。新車販売などが好調で9カ月ぶりに前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」とし、10月の「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」から引き上げた。
衣料品の販売増も目立った。11月は全国的に気温の低い日が多く、冬物の衣料品がよく売れた。生鮮野菜の高騰を背景に食料品の販売も増えた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.1%減の1兆6477億円だった。百貨店は高額品が低迷し、3.3%減った。スーパーは食料品の好調を映し、1.7%増となった。
コンビニエンスストアの販売額は3.8%増の9332億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、2つの統計を引用すると長くなります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の商業販売統計とも共通して、景気後退期です。

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鉱工業生産指数(IIP)に関して、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前月比で+1.6%の増産でしたから、ほぼジャストミートし、しかも、製造工業生産予測調査では12月+2.0%増、来年1月も+2.2%増との結果でしたので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省による生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直しの動き」へと3か月振りに上方改定されています。上のグラフにもある通り、生産は増産局面に入りつつあるのが確認できます。また、グラフは示しませんが、在庫調整が大きく進展し、例えば、典型的に大きな在庫変動が観察される電子部品・デバイス工業では、在庫率指数で見て、7月の159.2を直近のピークに、8月126.8、9月116.0、10月113.0に続いて、11月統計では93.4と、一直線に低下を示しています。製造工業全体の平均でも7月の117.3から11月の107.9まで低下して来ています。この製造工業平均の在庫水準は消費増税前後の2014年3月105.3、4月105.6以来の低水準となっています。背景は出荷の伸びですが、上のグラフのうち下のパネルで見て、資本財はそこそこ伸びを示していますが、問題は耐久消費財などの消費です。逆から見て、消費が伸び始めれば本格的な景気回復局面への復帰と考えられると私は受け止めています。そのためには、完全雇用に近い雇用水準にもかかわらず賃金が上がらないパズルを解決することが必要です。賃金が上がれば、消費の拡大とともに物価の上昇が見込めますから、賃金上昇に向けた何らかの所得政策の導入が求められると私は考えています。同一労働同一賃金なのか、プレミアムフライデーなのか、現時点では考えはまとまりませんが、賃金を上げ消費を喚起する所得政策、さらに出来れば、格差を縮小させるような経済政策がアジェンダに上る段階にあるんではないでしょうか。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。消費にリンクする小売販売額は季節調整していない原系列では前年同月比+1.7%増、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.2%と増加しています。上のグラフでもほぼ最悪期を脱しつつあるのが読み取れると思います。ということで、引用した記事にもある通り、商業販売統計のうちの小売販売に関しても、統計作成官庁である経済産業省の基調判断が「横ばい圏」から「持ち直しの動き」に上方修正されています。業種別では、引用した記事にもある通り、自動車小売業が前年同月比+6.6%増と新車販売の増加を受けて売上げを伸ばしたほか、天候要因ながら気温が低かったという通常の季節要因で織物・衣服・身の回り品小売業が+4.4%増となっています。ただし、飲食料品小売業の+1.6%増は野菜などの価格上昇に伴う増加の要素が大きく、実質ではそれほどの増加を示したとは実感できません。12月をはじめとする先行きのの消費動向については、恒常所得ではないものの、ボーナスがそれなりに増加したとの実感がありますので、消費もボーナスなどの収入の増加に応じた伸びがあったんではないかと期待しています。

私の勤務する役所では、本日12月28日がいわゆるご用納めです。明日から私は年末年始休暇に入ります。

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