大きく上昇した12月の消費者態度指数はトランプ効果か?
本日、内閣府から昨年2016年12月の消費者態度指数が公表されています。前月比+2.2ポイント上昇の43.1を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
12月の消費者態度指数、3年3カ月ぶり高水準 円安・株高効果
内閣府が10日発表した2016年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント上昇の43.1だった。東京五輪開催が決まった2013年9月(45.4)以来3年3カ月ぶりの高水準だった。円安・株高による資産効果で消費者心理が上向いた。前月を上回ったのは3カ月ぶり。
指数を構成する4つの指標全てが改善した。生鮮野菜の高騰に一服感が出つつあることもあって「暮らし向き」は42.0と前月に比べて1.9ポイント上昇した。円安による企業収益の改善期待から「収入の増え方」や「雇用環境」も上昇した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」で据え置いた。1年後の物価見通しは「上昇する」と答えた比率(原数値)は前月と同じ74.2%だった。
調査基準日は12月15日。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5535世帯、回答率は65.9%だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
消費者態度指数は昨年2016年10-11月と2か月連続で低下し、9月以降の天候不順に伴う野菜などの価格高騰が主因ではないかと言われていましたが、私の見るところ、野菜価格はさほど低下していないにもかかわらず、12月指数がこの2か月分の低下幅を取り戻すくらいに上昇したのは、基本的に、トランプ効果による円安と株価の上昇による影響ではないかと考えています。消費者態度指数を構成する各コンポーネントについて前月差で見ると、雇用環境が+3.2ポイント上昇し45.7、耐久消費財の買い時判断が+2.3ポイント上昇し42.8、暮らし向きが+1.9ポイント上昇し+42.0、収入の増え方が+1.5ポイント上昇し41.9となっています。また、資産価値に関する意識指標は、前月差+3.0ポイント上昇し43.1となっていることから、暮らし向きや収入の増え方以上に資産価値の上昇幅が大きく、資産価値の指標は消費者態度指数に入っていないものの、直接的に消費者態度指数を引き上げた雇用とともに、統計外で何らかのバックグラウンドとして影響力を持ったんではないかと、私は想像しています。ただ、トランプ効果であるとすれば、決してサステイナブルではなく一過性の可能性もあるわけで、だからというわけでもないんでしょうが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」で据え置かれています。消費者マインドについては、基本的に上向く方向にあると私は考えているものの、明後日に同じ内閣府から公表される景気ウォッチャーも併せてチェックしておきたいと思います。
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