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2017年1月30日 (月)

天候要因で季節商品に売れ行き不振あるものの商業販売統計に見る消費は回復のモメンタム!

本日、経済産業省から12月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.6%増の13兆4330億円と、引き続き、景気回復の兆しがうかがえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

16年の小売販売額、0.6%減 2年連続で減少 12月は0.6%増
経済産業省が30日発表した2016年の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は0.6%減の139兆8550億円だった。前年割れは2年連続。原油安による石油製品の価格下落で、燃料小売業の販売額が減少した。百貨店の衣料品販売の低迷も響いた。百貨店は3.3%減、スーパーは1.1%増、コンビニエンスストアは4.1%増だった。
16年12月の小売業販売額は前年同月比0.6%増の13兆4330億円と2カ月連続で前年実績を上回った。季節調整済みの前月比では1.7%減だった。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では新車販売が好調な自動車小売業が5.9%増加した。原油価格の持ち直しで燃料小売業は1.0%増となり、14年9月以来27カ月ぶりにプラスに転じた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.2%減の2兆675億円だった。気温上昇で冬物衣料品の販売が振るわず百貨店は2.6%減、スーパーは0.4%減だった。コンビニエンスストアの販売額は3.7%増の1兆75億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期です。

photo

季節調整済みの統計の前月比で見て、自動車小売業は11月の▲2.2%減から12月は+0.6%増に転じたものの、天候がかなり高温を記録したため、一部の業種で季節商品の売れ行き不振が見られました。すなわち、織物・衣服・身の回り品小売業が11月+1.3%増から、気温が高かったため冬物衣料の販売不振で12月は▲5.2%減となったほか、機械器具小売業も暖房機器の販売不振などにより11月の+5.4%増から、12月は▲4.3%減を記録しています。これらの業種別の前月比や上のグラフの下のパネルを見ても理解できる通り、12月の小売業販売額は季節調整済みの系列の前月比で、▲1.7%の減少を示しましたが、経済産業省による小売業販売額の基調判断の資料によれば、後方3か月移動平均で前月比は+0.3%の増加を記録しており、まだモメンタムは増加の方向にあるとして、基調判断は「持ち直し」で据え置かれています。天候要因も含めて、四半期ベースで小売業販売額をならして見ると、季節調整済みの系列の前期比では、7-9月期の+1.0%増に続いて、10-12月期も+1.9%増と着実な回復を見せています。

経済産業省による商業販売統計は物価の上昇を考慮しない名目統計なんですが、実質の家計支出も統計として公表される総務省統計局の家計調査が12月統計は明日の公表となっています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは季節調整していない原系列の実質支出の前年同月比で▲0.6%減となっていますし、10-11月の家計調査の実績を見る限り、かなりのマイナスを記録しており、なかなか消費の傾向を見るのが難しくなっているんですが、2月13日に内閣府から公表予定の10-12月期GDP統計では、実質消費は前期比でゼロ近傍ではないかと私は見込んでいます。明日の鉱工業生産指数や雇用統計、家計調査などが公表されると、10-12月期のGDP統計1次QEの予想がいっせいに明らかになると考えられますので、日を改めて取り上げたいと思います。

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