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2017年1月12日 (木)

やや停滞を示す景気ウォッチャーと順調に黒字を続ける経常収支!

本日、内閣府から12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。季節調整済みの系列で見て、景気ウォッチャーの現状判断DIは前月比横ばいの51.4を、また、先行き判断DIは前月比▲0.4ポイント低下の50.9を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で1兆4155億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の街角景気、現状判断指数横ばい 先行きは6カ月ぶり悪化
内閣府が12日発表した2016年12月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整値)は51.4と前月比横ばいだった。内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」で据え置いた。
部門別にみると、企業動向と雇用が上昇した半面、家計動向が低下した。企業動向では、製造業と非製造業ともに上昇した。街角では「自動車メーカーの生産が堅調で、取引先の部品メーカーの受注も安定してきている」(東海・金融)との声があった。一方、家計動向では小売りと住宅が低下。「相変わらず低調な状態は続いている」(九州・一般小売店)という。
2-3カ月後の先行きを聞いた先行き判断指数(季節調整値)は、前月から0.4ポイント低下の50.9だった。悪化は6カ月ぶり。家計動向と企業動向が低下した。企業では「鋼材の値上がりが予想され、価格転嫁が遅れる分だけ収益が落ち込む」(近畿・金属製品製造業)との声が聞かれた。家計では「1月に就任する米国の次期大統領の言動が気にかかる」(東北・スーパー)との見方もあった。
11月の経常収支、1兆4155億円の黒字 07年以来9年ぶり高水準
財務省が12日発表した2016年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆4155億円の黒字だった。前年同月に比べて3095億円黒字幅を拡大した。黒字は29カ月連続。11月としては2007年(1兆6678億円の黒字)以来9年ぶりの黒字額となった。原油安と円高を背景に貿易収支が黒字転換したことなどが寄与した。
貿易収支は3134億円の黒字(前年同期は3041億円の赤字)だった。原油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の下落で輸入額が5兆5770億円と10.7%減少。円高で外貨建ての円換算の輸入額も目減りした。自動車や鉄鋼の低迷で輸出額も5兆8904億円と0.8%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は738億円の黒字(前年同期は603億円の黒字)だった。「その他業務サービス」で大口の受け取りがあった。旅行収支は訪日外国人の1人あたりの消費額減少で黒字幅を縮小した。
第1次所得収支は1兆2032億円の黒字だった。円高で企業が海外事業への投資で受け取る配当金や証券投資からの収益が目減りし、前年同月(1兆5338億円の黒字)から黒字幅を縮小した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは家計動向関連で下がった一方で、企業動向関連では製造業・非製造業ともに上昇を示しています。ただ、家計動向関連でも、小売関連が低下した一方で、飲食関連とサービス関連は上昇しています。また、企業動向関連の中でも、ともに上昇ながら、製造業よりも非製造業の方が上昇幅が大きくなっています。なかなかに複雑な動きを示しており、年末12月ですから仕方ないところではありますが、極めて大雑把に考えると、家計についても企業についても、モノの物販よりもサービスの方に重点があったのかもしれません。ただ、前月比マイナスの家計動向関連ながら、雇用関連は引き続きプラスですし、全体のDIの水準もこの統計にしてはめずらしく50を2か月連続で超えるという高い水準にあります。ですから、私としては大きな懸念は持っていません。先行き動向DIは家計動向関連だけでなく、企業動向関連も前月比マイナスとなったため、全体でも前月から低下を示しましたが、先行きでも雇用関連はかなり強含みで推移しています。現状判断DIが停滞を示し、先行き判断DIが低下したのは、国際商品市況における石油価格などの上昇に連動して、国内でも燃油価格などコストの上昇が目に見える形で発生し始めた影響ではないかと私は想像しています。石油価格は上がっても下がっても、日本経済にいろんな影響を及ぼすようです。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれませんが、経常収支についてもほぼ震災前の水準に戻った、と私は受け止めています。なお、為替相場はトランプ効果でかなり円安が進んだように感じられますが、財務省のサイトによれば、インターバンクのドル・円相場は1ドル当たり108.18円と、前年同月の122.54円から11.7%の円高となっています。また、原油価格もドルベースでは1バレル当たり49.08ドルで前年同月比で見て+3.3%の上昇なんですが、円高で相殺されて円ベースではキロリットル当たり32,412円と▲10.5%の下落だったりします。ただ、上のグラフの黒い棒に見られるように、こういった為替相場や原油価格の動向ながら、貿易収支は急速に黒字化の方向に向かっているように見受けられます。

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