22か月ぶりにプラスを記録した企業物価指数(PPI)の動向やいかに?
本日、日銀から1月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインの国内物価上昇率は前年同月比で+0.5%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の企業物価指数、前年比0.5%上昇 上昇は15年3月以来
日銀が10日発表した1月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は前年同月比で0.5%上昇の97.7となった。前年比で上昇となるのは15年3月以来、22カ月ぶり。市場予想は前年比0.0%と横ばいだった。原油など国際商品価格の上昇や円安進行が寄与した。
前月比では0.6%上昇となった。前月比では石油・石炭関連や化学製品のほか、鉄鋼、非鉄金属などが上昇した。米国や中国のインフラ投資への期待感から銅の国際市況が回復したことも寄与した。
公表している746品目のうち前年同月比で上昇したのは273品目、下落は401品目だった。上昇と下落の品目差は128品目で、16年12月(186品目)から縮小した。縮小は3カ月連続。
日銀調査統計局は「国内需要の状況は徐々に強まっているが、企業物価への影響はあまりみられない。上昇の主因は国際商品市況の回復や円安の進行」と説明している。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。上の2つのパネルで影をつけた部分は、景気後退期を示しています。ということで、
まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率は保ち合いと予想されていたんですが、ほぼ2年振りにヘッドラインの国内物価の前年同期比でプラス領域に達しました。基本的には、国際商品市況における石油価格の反発と円安による物価上昇であり、少なくとも前者は日銀金融政策の成果にはカウントされないんだろうと受け止めています。例えば、国内物価のうち石油・石炭製品は1月の前年同月比が+22.3%の大幅な上昇となっています。また、農林水産物も+4.7%の上昇と秋口からの天候不順による価格上昇がまだ続いていえる印象です。また、国内物価以外でも、前年同月比上昇率で見て、輸出物価上昇率も昨年2016年12月の▲1.8%から今年1月には+0.8%に、輸入物価も12月の▲2.6%から+4.5%に、それぞれ、1月からプラスに転じています。物価の先行きについては、小国になってしまった我が国の経済動向もさることながら、国際商品市況の方向性に強く影響を受けそうな気もしますが、基本的に、新興国も含めて世界経済が緩やかに回復を示すとともに、我が国景気も持ち直しを続けており、国内の需給や人手不足を背景に一般物価は緩やかな上昇を続けるものと私は考えています。
なお、ご参考まで、この1月指数から企業物価指数(PPI)は2015年基準になっています。消費者物価指数(CPI)の基準改定と異なり、世間的に注目されないものですから、データを拾っている間に先月統計までとかなり違っていて、少し面食らいました。ただ、企業向けサービス物価はまだ2010年基準のようです。指数をそのままプロットすることは余りない指標ですし、上昇率で見ると大きな違いはないのかもしれません。
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