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2017年2月28日 (火)

本日公表の鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計から何が読み取れるか?

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産は季節調整済みの系列で前月比▲0.8%の減産、小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.0%増の11兆5820億円と、まずまずの結果を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、1月0.8%低下 2月予測は3.5%上昇
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比0.8%低下の99.8だった。生産の基調判断は「持ち直しの動き」に据え置いた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月比0.4%上昇だった。
出荷指数は0.4%低下の98.5で、在庫指数は0.0%上昇の107.5。在庫率指数は1.7%上昇の111.4だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では2月が3.5%上昇、3月は5.0%低下を見込んでいる。
1月の小売販売額、前年比1.0%増
経済産業省が28日発表した1月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比1.0%増の11兆5820億円だった。季節調整済みの前月比は0.5%増だった。大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で1.0%減の1兆6739億円となった。既存店ベースの販売額は1.1%減だった。
コンビニエンスストアの販売額は3.2%増の9136億円だった。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は、次の商業販売統計とも共通して、景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前月比で+0.4%の増産でしたから、▲0.8%の減産という実績はややネガティブなサプライズと考えられなくもありません。減産の原因のひとつとして、モデルチェンジに伴う自動車生産の増産が一巡した点が上げられていて、その点は確かに気がかりといえます。しかし、大きく悲観する必要がないと私が考えるのは、やはり、中華圏の春節の影響です。引用した以外の別の日経の記事によれば、記者会見で経産省から「中国向け製品の生産が減るなどの影響は表れていない」との説明があったらしいんですが、昨年までの1月春節による季節調整の歪みの可能性は十分あります。また、足元での出荷の大幅な低下あるいは在庫の増加などは見られず、先行き3月には減算する可能性は残されているものの、目先の確度の高い2月の増産が見込まれている点などを考慮すると、基調判断を下方修正するほどの懸念はなさそうな気もします。何度かの繰り返しになりますが、家電エコポイントによる白物家電などの耐久消費財の買い替えサイクルを迎えつつある点や、3年前の2014年の消費増税に伴う駆け込み需要の反動の剥落も進んでおり、家計セクターの消費も緩やかながら増加の要因が調い、企業セクターの人手不足に伴う設備投資も今後期待できますので、生産の回復傾向は継続すると見込まれる一方で、もしも、大きなショックが生じるとすれば、米国の通商政策に起因する可能性なんですが、コチラは皆目見通せません。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。消費にリンクする小売販売額は季節調整していない原系列では前年同月比+1.0%増、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.5%と増加しています。しかし、生産における中華圏の春節の影響の真逆が商業販売統計のインバウンド消費で生じている可能性があります。すなわち、昨年までの2月春節に比べて、今年の1月春節でインバウンド消費が1月にズレ込んだため、1月の消費が大きめに見えている可能性が排除できません。特に、鉱工業生産指数(IIP)のグラフでも耐久消費財の出荷はまだ底ばっているようにも見えます。しかし、今後は、これも繰り返しになりますが、白物家電の買い替えサイクルや消費増税による駆け込み需要の反動の剥落が進み、耐久消費財も含めて、消費も緩やかな回復に向かうものと期待しています。

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