基調判断が半ノッチ引き上げられた消費者態度指数やいかに?
本日、内閣府から1月の消費者態度指数が公表されています。前月比+2.2ポイント上昇の43.1を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の消費者態度指数、4カ月ぶり判断上げ 「持ち直しの動きがみられる」
内閣府が2日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の43.2だった。大幅上昇した昨年12月に続き、東京五輪開催が決まった2013年9月(45.4)以来3年4カ月ぶりの高水準。雇用環境の改善が続いていることが寄与した。前月を上回ったのは2カ月連続で、内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「持ち直しの動きがみられる」に引き上げた。上方修正は4カ月ぶり。
指数を構成する4つの指標のうち、「雇用環境」が改善した。高い有効求人倍率や低い失業率の好影響が出た。「耐久消費財の買い時判断」と「暮らし向き」は横ばいだったが高水準を保った。「収入の増え方」は悪化した。1年後の物価見通しは「上昇する」と答えた比率(原数値)は前月より0.7ポイント高い74.9%だった。
調査基準日はトランプ米大統領が就任する前にあたる1月15日、内閣府は「あまり影響が出てこない時期の調査だった」とみている。全国8400世帯が対象で、有効回答数は5633世帯、回答率は67.1%だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
上のグラフからも明らかな通り、昨年2016年11月に秋口の天候不順で野菜価格が高騰したり、米国大統領選挙でトランプ大統領が当選したりと、いろいろなショックがあって落ち込んだ一時期を除けば、ここ2年余りはトレンドとしては消費者マインドは改善を示して来たように感じます。すなわち、2014年4月の消費増税からその年の12月の39.2と翌2015年1月の39.3あたりを底にして、直近統計の2017年1月の43.2まで、緩やかに消費者態度指数が改善を続けて来たのが上のグラフから読み取れるかと思います。特に、1月統計については、引用した記事にもある通り、雇用環境の改善が寄与しています。消費者態度指数の4つのコンポーネントのうち、暮らし向きと耐久消費財の買い時判断については前月から横ばいを示し、収入の増え方については前月差でマイナスだったんですが、雇用環境のプラスが大きく、消費者態度指数全体として前月から上昇という結果になっています。これも引用した記事にある通り、これらを総合して、統計作成官庁である内閣府では基調判断を半ノッチ引き上げて、「持ち直しのテンポが緩やか」から「持ち直し」に修正しています。先月のこの統計公表時には、トランプ効果であればサステイナブルではなく一過性の可能性を指摘しましたが、私の杞憂だったかもしれません。
今日発表の消費者態度指数が需要サイドのマインドの代表とすれば、来週は供給サイドのマインドの代表である景気ウォッチャーの結果が明らかにされます。景気ウォッチャーも昨年2016年7月以降の年後半でかなり改善を示しており、足元の景気の回復とともに、需給どちらのマインドも持ち直しています。今日の夕刊を見ると、経団連の榊原会長と連合の神津会長が都内で会談し今年の春季労使交渉が本格的に始まった旨の報道がありました。マインドの回復とともに、賃金の上昇により消費の活性化が待たれる段階に達したようです。
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